表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

400/636

第19話 冥闇の彼方。戻せるもの戻せないもの。

「それは簡単な話だ。修道服姿のメルを尾行していたのは『私だけ』だからだ。周囲を探りながらメルの事を追っていたから間違いない」

 などと、『私だけ』の所を強調して告げるカルティナ。


「そ、そうだったですか……。全然気づかなかったのです……」

「まあ、メルとは別ルートで侵入してきたんだとは私も思うよ。……メルの尾行をしていたのだとしたら、今頃メルは暗殺されているか、あるいは拉致されて全て『吐く』まで拷問されていたか、どっちかだろうしね」

 なんて事をサラリと言うセシリア。

 その言葉にメルメメルアが恐怖で震える。それはもう尻尾が逆立つ程に。

「ひぅっ!? な、なるほどなのです。ある意味、尾行されていなくて良かったのです……」


「……セシリア、あまり脅すものではないぞ?」

 と、ため息混じりに言ったカルティナに対してセシリアは、

「え? あれ? 別に脅しているわけではなくて、よくある話をしただけなんだけど……」

 なんて事を言いながら首を傾げた。

 

「……さすがは『暗部』……と言うべきか。そんなのが普通とはな」

 やれやれと首を横に振るカルティナと、更に恐怖で震えるメルメメルア。

「こ、怖すぎるのですっ!」

 

「……ま、それはそれとして……。メルはどうしてここへ来たのだ?」

 カルティナが、メルメメルアがここへやって来た理由について改めて問いかけると、

「あ、はいです。ラディウスさんのガジェットがもうすぐ完成しそうなので、セシリアさんの方を様子を見に来たのですよ」

 と、そう返事をしてセシリアの方を見た。

 そして、それと同時に気付く。

「……って! セシリアさん、手が酷い事になっているのです! すぐに治すのです!」

 メルメメルアは、セシリアの手の激しい負傷状態に驚き、慌ててガジェットを取り出すと、レストア――レストア・改の魔法を即座に発動させた。

 

「す、凄いな。話には聞いていたが、よもやこれほどとは……」

 カルティナが驚くのも無理はないと思える程に魔法による回復力は圧倒的で、あっという間に大半の傷が消え去った。

 

「ラディウスさんから、何かあったら時の為に……と、凄まじく強化改造されたレストアの魔法が組み込まれているガジェットを渡されていたですが、早速役に立ったのです」

「ホント、流石だよね。まさに『あっという間に治った』って感じだし。これなら少しばかり無茶をしても大丈夫だね」

 自身の手を見ながら、そんな事を口にするセシリア。

 そのセシリアに対し、

「あっという間に治るとはいえ、レストアはあくまでも修復の魔法なのです。血を流し過ぎていたり、毒に冒されている場合や継続的な生命力の減衰効果を持つ魔法といったものを受けている場合は効果がないのです。だから、無茶は禁物なのですよ? うっかり死んで、もし時間逆行が発動したりしたら、カチュアと完全に切り離されてしまうのです。そうなったらもう取り戻せないのです。だから、絶対に駄目なのです」

 と告げるメルメメルア。

 

「うっ……。な、なるほど……。そう言われるとたしかにそうだね……。ご、ごめん、メル。無茶をして死なないように気をつけるよ……」

 とセシリアが謝りながら返事をした所で、

「時間逆行? どういう事だ?」

 と、カルティナが首を傾げながら言う。

 

「あ……っ!」

 メルメメルアは『しまった!』と思うも時既に遅し。

 

 ――な、何か良い誤魔化し方は……!

 

 なんて事を思いながら、慌ててあれこれと考え始めるのだった――

なにやらうっかり口にしていますが……?


といった所でまた次回! 次の更新は平時通りとなりまして、1月15日(日)を予定しています!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ