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第13話 冥闇の彼方。魔軍幻将。

「それで? どこのどちら様? 今斬り倒した小者と違って、そっちもそれなりの地位だよね、どう考えても。一応名前を聞いておいてあげるよ? あ、私はセシリアね」

「セシリア……。最近、ウチらの作戦を妨害して回っている聖女の名と同じだな。いや、まさに本人……か」

「そうそう、本人本人。っていうか、その発言で『ビブリオ・マギアス』か『魔軍』の関係者ですって自分から言ったようなものだよねぇ」

 やれやれと言わんばかりの表情で、謎の女性にそう返しつつ、首を横に振ってみせるセシリア。

 

「ま、どうせ分かってんだろうから教えてやるぜ。――アタシの名はレミィ。魔軍幻将イザベラ様の副官だ」

「魔軍幻将イザベラ? 将という事は……オルディマと同格って事だよね? その副官がわざわざこんな所に?」

「イザベラ様が、『オルディマの使う禁断の秘術』には『痕』が残る。念の為に秘術を用いた場所を確認して、もしも『痕』が残っているようなら抹消してこいと言われたのさ」

「ふぅん、痕……ねぇ」

 セシリアはそんな風に返しつつ思考を巡らせる。

 

 ――思いっきり自分から『オルディマの使う禁断の秘術』って言ってるし……

 こっちがオルディマの名を出したから、既に知っていると思ったのかな?

 まあ……なんにせよ、こいつを通しちゃいけないってのだけは確定したけど。

 なるべく近づけないように、そして抜かれないように動くには……

 

「……剣の聖女セシリアが番をしているっつー事は、『痕』があるっつー事だよなぁ? イザベラ様が何を危惧して『痕』を抹消するように言ったのかは知らねぇが、命令を遂行させて貰うぜ!」

 セシリアが思考している間に、そんな事を言って妙な短剣を取り出すレミィ。

 

 ――普通の短剣に見えるけど……

 

 セシリアは一瞬そう思ったが、すぐに短剣の切っ先が自分の喉元に向いている事に気づき、即座に聖剣を縦に構え直した。

 

 と、その直後、カキィンという甲高い音が聖剣の腹から響き、短剣の先端が地面に落下した。

 

 ――今のは投げたわけじゃない……。一直線に……射出された?

 暗殺者がそういうギミックの仕込まれた短剣を使うというのを聞いた事があるけど、まさにソレって感じだね。


「おっと、さすがにこの程度じゃ駄目か」

「そうだね。バレバレって奴だよ」

「そうかな?」

 セシリアの返事に対し、ニヤリと笑うレミィ。

 

 それに対して嫌な予感を覚え、後方へ跳躍するセシリア。

 その刹那、先程の短剣が爆発する。

 

 ――くぅっ!

 飛ぶだけじゃなくて爆発までするなんてね……っ!

 これ、飛んでくる短剣も下手に回避したら、あの爆発で魔力の残滓を消されるんじゃ……

 しかも、向こう側に飛んで対処法を考えるのも出来ないし……なんて厄介な……っ!

 

 セシリアはそんな事を考えつつ、聖剣を構え直す。

 そして……

 

 ――こういう時は攻撃を繰り出し続けて短剣を使わせないのが基本……と言いたい所だけど、こういう奴はそれをすると逆に『使わせる隙』を与える事になるから、下手に攻め込まずに守りに徹するのが最良……なんだけど、今は少しでもあいつを『痕』に近づけたくはない状況だから、取れる手段は必然的に――

 

 そこまで思考した所で、セシリアはレミィとの間合いを詰めるべく、勢いよく踏み込んだ。

魔軍幻将本人が出てくるわけではないのですが、他に良い名称が思いつかなかったので、なんとも紛らわしいサブタイトルに……


とまあそんな所でまた次回! 

さて、次の更新ですが、どうにか平時通りの間隔でいけそうな感じなので、12月26日(月)を予定しています!

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