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第6話 冥闇の彼方。動き出す者たち。

「――とりあえず『リンク』を復活させられれば、カチュアが今居るであろう場所の情報も得られそうな感じがするわね。でも、異空間に囚われているのよね? リンクを復活させた場合どうなるのかしら?」

「おそらくだが……こっちの世界では異空間に囚われたままだろうな。ただ、向こうの世界に行けば、ルーナの横にいる状態に戻るんじゃないかと思う。まあ……正直言って、この方法自体が始めての試みだから、必ずそうなるとは言えない所ではあるが……」

 ルーナのもっともな疑問に対して、歯切れの悪い返答をするラディウス。


 さすがに一度もやった事のない方法である以上は、推測でしか答えられない為、そうなるのも仕方がないと言えよう。


「……試してみるしかない……って事だね」

「そうだな。少なくともカチュアがどうにかなるような事はない……はず。というよりも、状況が悪化したりしないよう、二重三重の安全策――保護術式を用意した上でやるつもりだ」

 ラディウスがセシリアの言葉に頷き、そんな風に説明しながら腕を組む。


「不安がないわけではないですが……それでも、何もせずにいるよりは、何かしら試みてみる方が良いと私は思うです。それに……視えた『用途』を考えると、このまま何もしないでいると、完全に取り戻せなくなってしまいそうな感じがするのです」

「……そうね。どれだけ役に立てるかは分からないけど、私も出来る限りのサポートはするわ」

 メルメメルアとルーナがそう言ってラディウスの方を見る。

 それに続く形で、セシリアもラディウスの方を見ながら手をギュッと握り、

「私に出来る事はあまりないと思うけど……でも、もし出来る事があれば全力でやるよ!」

 と、そんな風に力強く告げた。


「――なら、セシリアには警戒と防衛を頼みたい。実の所……メルが言った通り、このまま何もしないでいると危険な状況でな……」

「ど、どういう事?」

「……この場所に残る魔力の残滓が消滅すると、『リンク』を復活させられなくなるんだ。一応、自然消滅しないように維持しておくが……もし、外的要因によって消滅させられたりしたらどうにもならなくなる」

「……外的要因?」

 ラディウスの言葉にセシリアは首を傾げる。

 しかし、すぐに思い至って、

「って……あっ! カチュアにあの魔法を使った奴や、聖堂への侵入を手引きした奴がまだ聖堂内に残っていて、私たちの動きに気づいて、魔力の残滓を消そうとしてくる可能性があるから……だね?」

 という問いの言葉を投げかけた。


「ああ、その通りだ」

「なら、不自然に思われないように隠れて警戒しておくね。で、誰か来たら追い返すようにするよ。場合によっては実力行使で!」

 頷いてみせたラディウスに対してセシリアがそんな風に返事をすると、それに続く形で、

「でしたら、私はその人物について、もうちょっと探ってみるのです。もし既に聖堂内にいないとしても、この街に残っているようなら安心出来ないのです」

 と、メルメメルア。


「――そうだな……これをやったのが何者なのか、そして今どういった動きをしているのか、そういった情報はたしかに欲しい。欲しいが……メルまでカチュアと同じ状況になったらシャレにならないからな。あまり深追いしないよう注意してくれ」

「はいです。あまり踏み込みすぎないようにして、危なそうならすぐに引き下がるのです」

 メルメメルアはラディウスにそう答えると、善は急げとばかりに、即座にその場から立ち去っていく。


 ラディウスはそれを見送りながら、

「……若干不安はあるが、まあ……ここは信じるしかないな」

 なんて事を、小さく呟くように言った後、

「――魔力の残滓が自然消滅しないようにはするが、あまり悠長にはしていられない。急いで準備をして試みてみるとしよう。ルーナ、その為のガジェットの作成と防護策の準備を書庫の中でやるから手伝ってくれ」

 と、そんな風にルーナの方を見て告げたのだった。

なんだか怪しげな感じがしないでもないですが……?


といった所でまた次回! ……なのですが、再び所々諸々の事情により、次の更新は平時よりも1日程間隔が多く空きまして……12月1日(木)を予定しています。申し訳ありません。

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