第16話 遺跡探索録。迷路の意味。
「もしかして……なのだが、我々は今、この迷路を突破する事の出来る技量があるかどうか、というのを試されていたりするのではないか?」
カルティナがメルメメルアが思った事と同じ内容を口にする。
「私も、その可能性があるのではないかと考えていた所なのです」
「もしそうだとするのなら、何を目的としてそんな物を試してきているのか……というのが良くわからないっすね……」
メルメメルアの言葉に対し、ルティカはそう返した所で「あ、いや……」と呟きながら顎に手を当てる。
そして、しばし思考を巡らせてから、
「……もしかしてっすけど、『総合的な作戦遂行能力』を計測している……とかだったりするんすかね?」
と、そんな風に言った。
そうルティカが考えたのは、今行われている『試し』とやらが、ゼグナム解放戦線において、配属先を決める為の適正試験に、どことなく似ていると思ったからだ。
「作戦遂行能力……か。なるほど、言われてみるとたしかに軍事行動においては、戦闘能力以外の技量が必要とされる場面が存在するし、そういった方面に特化した部隊というのも存在しているな……」
ルティカの発言に腕を組みながら得心がいったと言わんばかりの表情で、そんな風に言うカルティナ。
それを聞いたメルメルアは顎に手を当て、しばし「うーん」と唸った後、
「だとすると……これは、マッピング能力や空間把握能力といったものを試している……のかもしれないのです」
と、そんな推測を口にした。
「う、うーん……。そういうのはあまり得意じゃないんすけどねぇ……」
「……ある程度はガジェットでどうにかなるですが、私もそこまで迷路は得意ではないのです……」
ルティカの言葉に続く形で、メルメメルアはそう言いながらカルティナの方へと顔を向ける。
それに合わせるようにして、ルティカもまたカルティナの方へと顔を向けた。
「……私の方に顔を向けられても困るのだがな。自慢ではないが、私は若干方向音痴の気があるしな」
「人の事を言えた義理じゃないっすけど……それは本当に自慢にならないっすね……」
ため息混じりに言ってきたカルティナに対して、そう返事をして肩をすくめてみせるルティカ。
「まあ、とりあえず進むしかないのです。最悪、ひとつずつ順番に分かれ道を潰していけばいいのです」
と告げてきたメルメメルアに対し、カルティナとルティカはもっともな話だと頷き、迷路を進む。
……しかし、小一時間迷っても突破する事は出来なかった。
「だめっすね……。全然抜けられる気がしないっす」
「というか、元の場所に戻っている気すらするのです……」
「これなら、まだ戦闘の方が楽な気がするな……」
そんな風に3人がボヤいた所で、マリス・ディテクターに反応があった。
「この先、天井に1体貼り付いているのです」
「ふむ、頭上からの強襲型か。まあ、居場所が判明していれば、驚異でもなんでもないがな」
「ま、サクッと倒してしまうっすかね。ちょっとした憂さ晴らしっす」
などと言いながらも、迷路にうんざりしていた3人は、マリス・ディテクターの反応があった方へと嬉々として駆け出していくのだった――
思った以上に、迷路部分での会話が長くなってしまいました……
とまあそれはそれとして……次回の更新は前回予告通り、平時よりも1日多く間が空きまして……11月2日(水)を予定しています。




