第14話 遺跡探索録。迫る敵と変化。
「なっ!? ド、ドールだと!? 魔導兵器の中でも高位の存在ではないかっ!」
自身の使ったマリス・ディテクターによって、迫ってくる敵性存在がドールガジェットである事を理解したカルティナが、驚愕の声を上げる。
「マリス・ディテクターで判明した名前から察するに……おそらく、射撃戦タイプと白兵戦タイプ、それと高機動タイプなのです!」
そう告げるメルメメルアに対し、
「うへぇ……。厄介極まりない組み合わせっすね……」
と、心底嫌そうな表情で返事をするルティカ。
「真っ向から3VS3でぶつかると、圧倒的に不利になるな……。誰かが2体を引き付けている間に、残りのふたりで1体を素早く倒すしかない気がするぞ……。いや、それでも厳しいか……」
「そうっすね……。ひとりでドールタイプ2体の動きを封じるとか、かなり無茶っすね……」
カルティナに対し、そうルティカが答えた所で、
「もうここは、一旦逃げるのが良い気がするのです」
なんて事を、ため息混じりに言うメルメメルア。
「たしかに、さっき言っていた『逃走』を試すには良い機会かもしれないっすね」
「……よもや、こんなにすぐにその機会が訪れるとは思っていなかったがな。……ルティカが、遭遇したくないなどと言ったからではないか?」
「いやいや、さすがにそんな事あるはずな……いと言い切れないのが、この遺跡っすね……」
「ふたり共、悠長に話をしている場合ではないのです! 迫って来ているのです!」
先刻と異なり、今度はメルメメルアがそんな突っ込みを入れる。
「そ、そうだな!」
「急いで逃げるっす!」
ルティカとカルティナがメルメメルアに対しそう返しつつ、頷き合う。
そして、即座に後ろに向かって走りだした。
「――くっ! 相手の方が速いかっ!」
「どんどん距離を縮められているのですっ!」
走りながら、マリス・ディテクターで距離を確認していたカルティナとメルメメルアがそんな声を発する。
「もう行き止まりっすよ!」
そうルティカが言う通り、正面は行き止まりが見えていた。
しかし、構造が変化する様子はない。
「これは……逃走は認めないという事か!?」
「追いつかれるのですっ!」
カルティナとメルメメルアが後方を見ながらそう叫んだ直後、唐突に床が振動した。
と、次の瞬間、後方から視界に入る距離まで迫ってきていたドールガジェットの姿が掻き消えた。
「へ?」
素っ頓狂な声を上げつつ、ドールガジェットが居た方を驚きの表情で眺めるルティカ。
カルティナとメルメメルアも声こそ発さなかったが、唖然とした表情をしていた。
「マリス・ディテクターの反応が……消えた?」
カルティナがそう呟きながら周囲を見回すが、ドールガジェットの存在は、どこからも感じられなかった。
「もしかして……構造変化が発生した……です?」
顎に手を当てながらそう口にするメルメメルアに、
「行き止まり側は特に変化がないっすね……。奥を見に行ってみるしかなさそうっす」
と、行き止まりを一瞥しながら答えるルティカ。
それに対して、カルティナが頷き、
「ああ、行ってみるとしよう。しかし……もしこれで、外への出られる場所がこの先にあったら、メルの推測が正解であるという事になるな……」
と、そんな風に言った。
想定していたよりも遺跡の話が大分長くなっていたりしますが、もう少しだけ続きます……
戦闘シーンが絡むとどうしても長くなるんですよね……
もう少しどうにかしたい所ではあるのですが……
とまあ、それはそれとして……
次回の更新ですが、諸々の事情により平時よりも1日多く間が空きまして……10月26日(水)の更新を予定しています。
おそらく、その次は平時の間隔に戻れると思います。




