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第10話 遺跡探索録。カルティナの作戦。

「短剣に熱線をぶつけるんすか? その程度じゃ、防ぐのも曲げるのも無理っすよ?」

「そこは大丈夫だ。『どうにかなる』ようにする」

「……? 良くわからないっすけど……まあ、ぶつけるだけなら余裕っすよ」

 というルティカの返答に対し、カルティナはルティカとメルメメルアを交互に見て、

「なら、まずは私とルティカで防御魔法を展開し、メルがその後ろでビットをまとめて吹っ飛ばせる魔法を詠唱だ。そして、熱線が来たらルティカはそこに短剣を投げてくれ。そうすれば詠唱完了までの時間は十分稼げる」

 と、そんな風に言った。

 それに対してルティカが、

「ず、随分とアバウトな作戦っすけど、本当に大丈夫なんすか?」

 なんていうもっともな言葉を返し、メルメメルアが同意するように首を縦に振る。

 

「うむ、問題ない。ルティカが外さなければ、だが」

「む、むぅ……。……わ、わかったっす。そう言われたらやってやるっすよ! だから、やっぱり駄目でしたってのはナシっすよ!」

「任せるがいい」

 ルティカに対して自信満々に告げるカルティナを見て、

「でしたら、私の方もやってやるのです。ちょうどさっき、ビットを纏めて消し飛ばすのにちょうど良さそうな魔法を詠唱しようとしたですし」

 と、そんな風にメルメメルアも言う。

 

「ああ……『アレ』か。たしかにアレなら消し飛ばせそうだ。――では、早速仕掛けるとしようか」

 先程メルメメルアが詠唱していた呪文を思い出し、カルティナは納得の表情と共に、そう告げる。

 

 それと同時に、3人が密着するように通路の中央に集合。

 カルティナとルティカが防御魔法の展開を継続する後ろで、メルメメルアが防御魔法を解除し、

「ここに下りたるは――」

 と、詠唱を開始する。 

 

 当然ながら、ビットはそれを迎撃すべく熱線での攻撃へと切り替えてくる。

 放たれた熱線を確認した所で、カルティナが叫ぶ。

「ルティカ!」


「任せるっす!」

 カルティナの声に応じつつ、左右の手から短剣を1本ずつ、それぞれの熱線に向かって投げつけるルティカ。

 

 宙へと放たれた2本の短剣は、完璧に熱線へとぶつかる軌道を描きながら飛翔。

 床を溶解しつつ迫る熱線と短剣。接触までは2秒とかからない。

 とそこで、カルティナが2本の短剣に対して魔法を発動。

「――エンハンス・オブ・インタラプト!」

 

 そう、それは以前セシリアが魔法を叩き斬った時に使われた、魔法の術式に対して直接干渉する事が出来るようになる、という効果を対象に付与する魔法である。

 そして、熱線も魔法であるがゆえに、短剣に付与された魔法によって『直接干渉される』のだ。

 結果――

 

「ね、熱線が消し飛んだっす!? ど、どういう事っすか!?」

 と、ルティカが驚くように、短剣によって熱線は消し飛ばされた。

 

 その直後、詠唱を完了したメルメメルアが魔法を放つ。

「――シュラウデッド・ダミングスアス!」


 ビット2つに対して使う魔法としては明らかに過剰な威力の魔法だが、これであれば確実に回避される事はないというものである。

 ゆえに、あっさりと2つのビットがその闇の中へと飲み込まれ、そして跡形もなく消え去った。

 

「グオオオオオオオオオオンンッ!!」

 ビットを消し飛ばされた事によって、脅威と危機を認識したのか、咆哮にも似た駆動音が響き渡り、巨体がその身を動かし始める。


 しかし、時既に遅し…… 

「――リパルション・バラージッ!」

 カルティナの魔法の詠唱が完了し、10を超える橙色の魔法陣が出現する。


 それは、魔軍事変でラディウスが多数の敵を葬り去るのに使った、鳥の形をした光と闇――変幻自在に飛び回る魔法の矢とでも言うべきもの――が大量に生み出され、対象に向かって一斉に襲いかかるという、シンプルでありながらも強力な殲滅力を持つ魔法。

 それをたった1体の敵に対して使ったのだ。その結果は語るまでもないというものであろう――

エンハンス・オブ・インタラプトが、久しぶりの登場となりました。

もっとも、リバルション・バラージは、更に久しぶりの登場だったりしますが……

魔軍事変とか、かなり前(3章)の話ですからね……


とまあそんな所でまた次回! 

次の更新は、平時通りの間隔となりまして……10月13日(木)を予定しています!

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