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第8話 遺跡探索録。鎧のビット。

「もう一度、魔法を撃ってみるのです! ここに下りたるは掩蔽な――」

「っ! メルさん! 左に飛ぶっす!」

 詠唱するメルメメルアに対し、詠唱が聞こえなくなる程の声量で忠告を発するルティカ。

 

「――っ!?」

 ルティカの忠告に身体が自然と動き、左へ大きくサイドステップするメルメメルア。

 と、次の瞬間、メルメメルアの立っていた所を熱線が駆け抜けた。

 駆け抜けた所が赤く溶解しており、凄まじい高温である事が見て取れた。

 メルメメルアに当たっていたら、間違いなく真っ二つに焼き切られていたであろう。

 

「あ、危なかったのです……。とっさに身体が動いて助かったのです……」

「人間、避けろって言われるだけだと、とっさに動けないものっすけど、左や右へ飛べって言われると、とっさに動けるものだって前に修練で教わったんすけど、ここで役に立つとは思わなかったっす」

 メルメメルアに対してそんな事を言うルティカ。

 無論、この『修練』というのは、冒険者の修練ではなくゼグナム解放戦線の修練の事である。


「そんな事より今の熱線はどこから来た!? 正面は警戒していたぞ!?」

 カルティナが驚きと共にそんな声を上げる。

 

「上っす! そいつが元に戻る時に、鎧からショルダーガードが分離したっす! そいつから、放って来てるっす!」

 そう告げてくるルティカの声に反応するように、カルティナが上を向く。

 すると、たしかに宙に2つの物体が浮いていた。

 

「なるほど……。無意味なまでに横に長い良くわからないショルダーガードだと思っていたが……あれ自体が、分離して動くガジェットだったというわけか……」

 と、そんな事を言っている間にも、2つの熱線を放つショルダーガード型のガジェットが飛び回り、メルメメルアを狙い撃つかのように魔法弾を連射し始める。

 

 ――っ!? 完全に集中的に狙われているですっ!

 

 そう思考しつつ、ガジェットの防御魔法で攻撃を防ぐメルメメルア。

 

「メルに詠唱させまいとしているわけか。だが、残念だったな。先程の魔法と同程度の魔法は私にも使える。……地の底より滲出せし淡く昏い魔――」

 カルティナがそこまで口にした所で、2つのビットのうちの1つがカルティナの方を向き、熱線が放たれる。

 

「――っ!」

 カルティナはそれに気づくと詠唱を中断し、大きく跳躍。熱線を回避する。

 

「詠唱に反応してくるだと!?」

「おそらく、ガジェットの稼働と音声の波形のようなもので、詠唱を判断して、迎撃してきているのです!」

 カルティナの驚きの声にそう返すメルメメルア。

 そこにルティカが、

「人間のような瞬間的な判断じゃないとはいえ、厄介っすね……!」

 と、言葉を続けつつ、短剣をビットへと投擲。

 しかし、カキィンという甲高い音と共に弾かれてしまう。

 

「やっぱり、並の攻撃じゃ駄目っすか……」

 そうルティカが悔しそうに言った直後、ビットから魔法弾がばら撒かれる。

 

「おわっと! っす!」

 反撃に対し、慌てて防御魔法を展開してブロックするルティカ。

 

 広範囲にばら撒かれた魔法弾を回避するのは難しいが、反面一発一発の威力は高くない為、防御魔法でのブロックが可能なのが幸いであった。

 とはいえ、攻撃を仕掛ける余裕がなく、仕掛けても並の攻撃では無意味だという、かなり不利な状況である事に変わりはない。

 

「魔法の詠唱に反応して熱線、そうでなければ、魔法弾の広範囲のばら撒きと一点への集中砲火を切り替えながら攻撃……か。なんとも面倒な……っ」

 カルティナはそう忌々しげに声を発しながら、何か良い手はないかと、手持ちの魔法の性能を深く認識しなおしながら、ふと気付く。


 ――さっきからビットは動き回っているが、本体の方はまったく動いていない……?


 という事に。

横に異様に長い肩当ての描かれた鎧って、今でこそほとんど見かけませんが、昔はそこそこ見かけたものです……。まあ、どうして横に長いのかは今でも謎ですが。


といった所でまた次回! 

……なのですが、次の更新も平時より1日間が空きまして、10月6日(木)の予定です……

とはいえ、その次の更新は平時の間隔にもどせるのではないかと思っています。

まだ、不確定な部分はありますが……(その為、難しくなる可能性もあります……)

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