第6話 早い再会の先へ。魔物の素材を求めて。
「――それはそうと、お主は何を求めてこの店に来たのじゃ? ガジェットを作る為の素材が欲しいとさっき言っておったが……具体的な名前を上げて貰えぬか? まずは在庫があるかどうかを確認せねばならんからのぅ」
一段落ついた所で、シェラがラディウスにそう問いかける。
ラディウスはもっともな問いだと思い、顎に手を当てながら、
「えーっと……霊銀鉱石、幻煌蝶の鱗粉、グレイブホーン、シャドウバイパーワイヤー、アクアメタルインゴットですね」
と、答えた。
それに対し、シェラは難しい顔をしながら答える。
「うーむ……。霊銀鉱石、幻煌蝶の鱗粉、グレイブホーンの3つはあるが……アクアメタルインゴットは、アクアメタルナゲットしかないのぅ」
「ああ、それでも大丈夫です。俺がナゲットからインゴットに変えますから」
「うん? ラディは魔導錬成の技術を持っているのか?」
疑問を抱いたらしいカルティナが、横からそんな風にラディウスに問いかける。
「ああ、一応。必要に迫られて習得したんだ」
「そんな簡単に会得出来るようなもの……なのか?」
さらっと答えたラディウスに対し、首をひねって考えるカルティナ。
「鍛冶関連の知識が少しあれば、さほど難しくはないと言っておった奴が昔おったのぅ……。まあ、そやつもなかなかに型破りな奴じゃったがの」
なんて事を懐かしげな目をしながら言うシェラ。
「それは、シェラさんが時々話している、シェラさんの旦那さんだった人の事か?」
「ああその通りじゃよ。ま、昔の話さね」
シェラはカルティナの問いかけにそう答えると、ラディウスの方へ向き直り、
「まあ、それはさておき……じゃ。シャドウバイパーワイヤーなるものじゃが……正直言って、わしはそんな物、見た事も聞いた事もないぞい?」
と、告げた。
「え? ……あ、そうか。えーっと……でしたら、シャドウソーンの蔦とゼラチナスバイパーの皮、それからマッドスラッグの粘液が欲しいのですが……」
言われたラディウスは、この頃にはまだ作られていない代物だった事を思い出し、作るのに必要な素材の名を改めて口にする。
「なるほど、それらを使って作る代物というわけじゃな。じゃが、うーむ……ゼラチナスバイパーの皮はあるが、他は切らしておるのぅ……。どちらも冒険者ギルドで依頼するか、自力で狩りに行くのが手っ取り早いじゃろうな。なにしろ、そういった素材の仕入れは冒険者だのみじゃしの」
ラディウスの言葉に納得したらしいシェラは、カウンターの正面に置かれている大きな木箱を開けて、中を覗きながらそんな風に言った。
「あ、そうなんですね……。となると、ギルドでシャドウソーンとマッドスラッグの生息している場所を聞いて狩りにいくのが早そうだな……」
と、ラディウスが呟くように言うと、カルティナがラディウスの方を見て告げる。
「ふむ……。私が案内しようか? 一応、冒険者登録もしているし、戦闘技能もそれなりにあるつもりだぞ」
「……戦闘技術……なぁ……」
あの時の事を思い出し不安に駆られるラディウス。
「い、以前よりも鍛錬はしているから大丈夫だ! 大丈夫だとも! それに解体して素材化するのも慣れているから手伝えるぞ!」
カルティナは、必死な口調でラディウスにそんな事を告げる。
「ふむ……。戦闘はともかく、そっちはたしかに助かるな。俺は解体とかあまり得意じゃないからなぁ……。――でも、店を放っておいたら駄目じゃないか?」
ラディウスはそう言葉を返しながら、シェラの方をちらりと見た。
「ん? 店なら心配せんでも、わしが店番をしておくから問題ないわい。それにどちらもさほど遠くない場所にまとめて生息しておるし、せいぜい2~3時間といった所じゃろうからの」
と、そんな風に言うシェラ。
そう言われては断るわけにもいかず、ラディウスはカルティナに案内を頼む。
「うむ、万事任せておくがい――あいたぁぁっ!?」
右拳を左の掌に打ち付け――ようとして、ズレたらしい。
右拳の最も硬い部分が勢いよく掌底に当たり、涙目になりながらフーフーと息を吹きかけるカルティナ。
そのカルティナの姿を見て、ラディウスはやはり心配だ……と思うのだった。
というわけで次回から魔物の素材を獲得しに行きます。
多分、すぐ集まりますが。




