第5話 早い再会とかつての話。誤解、理解、和解。
予約投稿が明日になっていました……。手動投稿しました。
「なるほどのぅ……。さっき、酷い目にあったというのはそれじゃったか。それは顔を見て驚くのも無理はないのぅ」
「ん? 顔を見て驚く? シェラさんは、お客様がこの店に訪れた時からずっと覗き見していたのか?」
ラディウスはそのカルティナの問いに覗き見ではないだろうと思いつつ、シェラの方を見て反応を伺う。
シェラはため息混じりに、
「人聞きの悪い事を言うでないわい。聞こえてきた声でそう判断しただけじゃよ。耳は良い方じゃからの」
と、自身の耳を指差しながら否定の言葉を口にする。
「な、なるほど……。っとと、それはともかく――お客様、そ、その、私が勘違いでお客様に襲いかかったというのは本当ですか!? 冗談とかではなく!?」
「冗談だったら良かったんだがな……」
そうラディウスが言った瞬間、カルティナは大きくのけぞって冷や汗を流す。
「でもまあ――」
気にするなとラディウスが言おうとしたその瞬間、カルティナが跳躍。
ラディウスの前に着地しながら、土下座をした。
「ま、誠に申し訳なくーっ!」
――ジャ、ジャンピング土下座とか初めてみたぞ……
っていうか、ここまでさせてしまうと、なんだか俺の方が悪い気がしてくるな……
ラディウスはそう思い、改めて言おうとしていた事をカルティナに告げる。
「まあ……なんだ? 結局大事には至らなかったし、そんなに気にしなくてもいいぞ」
「そ、そう……ですか?」
「ああ。……というか、今の話を聞いて、何かあの時の事を思い出したりはしないか?」
そのラディウスの問いかけに、頬に拳を当てながら「うーん」と唸るカルティナ。
そして、ひとしきり考えを巡らせた後、肩を落としてため息をつき、
「……残念ながら何も思い出せそうにありませんね……」
と、そう言葉を返した。
「そうか……」
ラディウスは残念そうに言いながらも、心の奥底で少し安堵する。
――あの時の事を思い出して、再び襲ってくるという事はなさそうだな。
とはいえ、記憶がないままというのも、それはそれで問題だよなぁ……
もっとも……なんとかしようにも何も方法が思いつかないから、現時点では何も出来ないんだけどな……
「まあ、その時の事を思い出したら『それが誤解だった』という事だけは覚えておいてくれると助かるな。主に俺が」
「は、はい! しっかり覚えておきますっ!」
カルティナが勢いよく頭を下げる。
「……ところで、俺に対しては敬語を使っているが、あの時は敬語なんて使っていなかったし、別にあの時の――ああいや、いつもの口調でいいぞ?」
「そ、そうですか? あ、いや……そうか? では、こっちの口調でこれからは話させてもらう。……シェラさん、構わぬよな?」
「わしに聞かずとも、お客さんがそれで良いというのじゃから、別に問題ないわい」
シェラはカルティナの問いにそう答えると、ラディウスの方へと顔を向け、
「ところで、カルティナは何を勘違いしてお主に襲いかかったのじゃ?」
と、尋ねる。
「一言で言うなら、仇と勘違いして……ですね。どうやら俺を仇討ちの相手と間違えたようです。まあもっとも、そう思われても致し方ない所はあるのですが……。その仇が使ったガジェットというのが、俺の作った物だったので……」
ラディウスは、混乱を生みそうな部分だけを隠しつつ、限りなく真実に近いそんな説明をする。
「ふーむ、なるほどのぅ……。そのガジェットを作ったのがお主だというのであれば、そういう勘違いをするのも、分からんではない話じゃのぅ。……ちと性急すぎる気はするがの」
「うぐっ!」
シェラに視線を向けられたカルティナが後ずさる。
「ま、まあ……実際俺が作った物がとんでもない使われ方をしたのが原因ではあるから、俺にも非があると言えばあるし、さっき言った通り気にしなくてもいいぞ……? これもさっき言った事だが……『誤解だった』というのだけは覚えておいてくれると助かるけどな」
ラディウスはそうフォローしつつ、今度はああいう物を作らないようにしないといけないな、と改めて思うのだった。
手動投稿の為、中途半端な時間での投稿となりました……