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第5話 聖木の館深奥。少女の場所へ。

「マジックストラクチャー・オープン」

 ラディウスは皆の驚きをよそに、わざわざそう口にしてカード型のガジェットの術式を目の前に表示。

 

「これに、ここのカードリーダーを解析して判明した『鍵』となる術式を組み込んで……」

 と言いながら、配線をつなぎ替えるかのように術式を書き換えていく。

 

「す、凄いな……。見た事もない術式が山のようにある……」

 なんて事をエレンフィーネが呟いた直後、

「よし、終わりだ。マジックリビルド・セットアップ」

 と言って、書き換えを終了するラディウス。

 これもまた、わざわざ口にするのは久しぶりである。

 

「いや、いくらなんでも早すぎではないか!?」

 エレンフィーネが再び上げた驚きの声を聞いたラディウスは、こういう反応をされるのは随分と久しぶりだな……なんて事を思う。

 

「ま、大した書き換えじゃないしな。で、まあ……こいつがあれば普通にここのドアは全て開けられる。――こんな風にな」

 ラディウスがそう言いつつ、一番近くのカードリーダーにカード型のガジェットをかざすと、カードリーダーから、ピコン! といういつぞやと同じ電子音のような音が鳴り、ドアが自動的に開く。

 

「ほ、本当にあっさりと開きましたね……」

 先程、ドアは破壊するのかと問いかけてきたゼグナム解放戦線の者がそんな風に言うと、

「もう驚きもしないな……。メル殿がラディ殿を手放しに称賛する理由が、改めてよく分かったというものだ……」

 と、先程思っていた事を、今度は言葉として紡ぐエレンフィーネ。


「とりあえず、こんな風に順番に開けて囚われている者たちを解放していく感じだが……療養棟同様、既に救える状態ではない者が襲いかかってくる可能性があるかもしれないから、開ける際は注意しておいてくれ」

「ああ、たしかに精神が崩壊して手がつけられない状態になっている者もいる……という話を聞いた事がある。おそらく……実験によって『手遅れ』な状態になってしまったものの、まだ生きている者もここに閉じ込められているのではないか……と、私は思う」

 ラディウスの言葉に続く形で、エレンフィーネがそんな風に言う。

 それに対し、沈痛な面持ちで、

「……そのような状態では、正直言いまして生きているとは言い難いですね……。むしろ、『別の意味で救う』必要があるでしょう……」

 と告げるテオドール。


「……まあ、そうですね。その場合は『そうする』のが良いと思います」

 ラディウスがそう返すと、ゼグナム解放戦線の者たちやエレンフィーネが、それに同意するように首を縦に振ってみせた。

 

                    ◆ 

 

「――ここで最後だな」

 エレンフィーネがそう言いながら正面のドアを見る。

 

「結局、ここまで件の少女はおりませんでしたね」

「ですね。まあ……逆を言えば、ここで確定だという事ですが」

 テオドールの言葉にそんな風に返しつつ、エレンフィーネと同じように正面のドアを見るラディウス。

 

「……わかってはいたが、ここに来る途中に囚われていた人の大半が、『手遅れ』だったのは少し残念だ。……『少女』は問題ないのだろうか?」

「そうだな……既に『問題がある』事は分かっているんだが、どうにかする算段がついているから『問題がない』とも言える感じだ」

「まるで押し問答の如き返答だな……。まあ、ラディ殿がそう言うのなら、『問題ない』のだろうが」

 ラディウスの返答に肩をすくめながらそう返すエレンフィーネ。

 

「この先にいる少女は、おそらくディーゲルという人物の娘なんだが、魂が別人のものと入れ替えられているんだ。……で、この別人の魂が厄介でな。一度不覚を取って死にかけたくらいだ」

 ラディウスはそう言いつつ、実際には一度死んで時間が巻き戻ったんだが……と、心の中で付け加える。

 

「それは、戦闘能力が高いという意味で……か?」

「高いというか……異常なまでの膂力と瞬発力、そして……殺したはずなのに動くという意味で厄介な感じだ」

 ラディウスはエレンフィーネの問いかけにそう返し、何故あんな事になったのかを、改めて考え始めた――

間がすっ飛ばされているような感じになっていますが、実の所、本来はもう1話分くらいあったのですが、これ以上間延びするのもどうかと思ったのと、すっ飛ばしたとしても特に問題はなさそうだった事もあり、大幅にカットしていたりします。


といった所でまた次回! 

次の更新も、申し訳ありませんが平時より1日多く空きまして……8月10日(水)を予定しています。

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