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第7話 エレンフィーネの話。少女の心当たり。

「え? 心当たりがあるですか?」

「うむ。『重度隔離棟』というものがあってな。そこには『この棟に収容しておくには危険すぎる者たち』が厳重な拘束が施された状態で収容されているのだが……その収容者の中にひとりだけ、『そこに収容しておくにはあまりにも不自然な少女』が存在するのだ。しかも、私があそこに放り込まれる少し前に、『この棟に収容されていた少女』と入れ替わる形で収容されている。……本来、そのような事はないゆえ、気になってはいたのだが……」

 メルメメルアの問いかけに頷き、そんな風に答えるエレンフィーネ。

 

「ええ、そうですね。そして、その『重度隔離棟』に元々収容されていたものの、入れ替わりによってこちら側に移された少女を、私が連れて逃げた形になります。ですので、現在『重度隔離棟』に収容されている少女が、『本命』である可能性は非常に高いのではないでしょうか」

 テオドールは、ラディウスとメルメメルアを交互に見てそう告げた後、一度言葉を切り、エレンフィーネの方へと向き直ってから、続けて問いの言葉を紡ぐ。

「……ちなみに『重度隔離棟』の位置は、私が潜入する際に用いた『役職』には秘匿されていた為、存じ上げないのですが……エレンフィーネ殿はご存知なのでございますか?」


「そうだね。あそこは警備を担う者以外には、位置も行き方も秘匿されていたが……逆を言えば、警備を担う者にはそれらが伝えられていたという事でもある。――そして、私は士官候補生だったからか、そういった場所の警備も任されていてね。行き方を知っているんだ」

「なるほどな。なら、まずは一通りこのフロアの開放を先に済ませ、それからそこへ向かうとしよう。エレン、案内を頼めるか?」

 ラディウスは即座に向かうべきか迷ったが、この場の開放を先に済ませてからの方が色々と安全だろうと考え、そうする事にした。

 

「任せてくれ。……だが、あの場所にはトラップ型のセキュリティガジェットが多数存在している。現在の状況からして、おそらく全てのセキュリティガジェットの魔法が常駐状態になっているであろう。あれを無力化する方法を先に見つけぬと、かなり厳しいぞ」

「なるほど、トラップ型のセキュリティガジェットがあるのか。ま、当然と言えば当然だな。――ちなみにそのセキュリティガジェットはどの程度の代物だ? 皇帝宮殿の深部で使われているようなレベルの代物か?」

「い、いや、さすがにそこまでハイレベルな代物ではないが……それでも、重要度の高い軍事拠点レベルのものではあるぞ」


「皇帝宮殿に満たないレベル……か。であれば、多分問題ないな」

「……うん? 問題ない? それはどういう意味だ?」

 ラディウスの言葉が理解出来ず、首をひねりながらそう問い返すエレンフィーネ。

 

「――先日、ラディウスさんが別の作戦の為に、皇帝宮殿の深部で使われているセキュリティを無効化するガジェットを作っていたのです。なので、それよりもレベルの低いセキュリティであれば、簡単に無効化出来る……とまあ、そういう意味なのです」

 何故か、自慢げに話すメルメメルアに、

「そ、そうなのか……。ラディウスはとんでもない人物なのだな……」

 と、驚愕と困惑の入り混じったなんとも言えない表情で返事をするエレンフィーネ。


 今までラディウスの『とんでもなさ』を理解していなかったエレンフィーネだったが、メルメメルアの説明によって、それを理解する事となった。

 ゆえにエレンフィーネは、『歓心』と『関心』――ふたつの『かんしん』を同時に抱きつつ、思う。

 

 ――彼の扉の破壊を考えると、かなり高度な知識と技術を持つ魔工士なのであろうと思っていたが……これは予想の遥か上……だな。


 と。

前の話で第8節を終わる予定だったのですが、今回の話を書いてみた所、なんだかここまでは『エレンフィーネの話』な気がしてきたので、急遽第7話に変更しました。

というわけで、第9節は次の話からになります!


といった所でまた次回! 次の更新も平時通りの間隔となりまして……7月23日(土)を予定しています!

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