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第14話 聖木の館攻略戦。囚われし帝国の軍人。

 ラディウスがあれこれと思考を巡らせている間に、メルメメルアによって部屋の中に囚われていた軍服を着た女性が救出される。

 そして、案の定……というべきか、女性は『帝国魔導機甲師団』のひとりであった。

 

「――この施設の、あまりにも酷すぎる状況に対して意見を述べたら、精神汚染だとか言われて、私も閉じ込められたのだ。……これが帝国の『今』だなんて、信じたくはなかったが……。なるほど……そうか、アルベリヒが全ての元凶であったか」

 メルメメルアの説明を聞いた女性――士官候補生らしい――が、そんな事を口にする。

 

「ならば、私も個人的に貴公らに協力させては貰えないだろうか? 今の帝国を放っておくわけにはいかぬが……ゼグナム解放戦線に与するのは少し違う気がするのでな」

 女性はそう言ってテオドールを見た後、メルメメルアの方へと顔を動かす。


「それはまあそうかもしれませぬな」

「え、えーっと……。ラディウスさん、どうしたらいいと思うです?」

 女性の言葉に同意するように頷くテオドールと、女性の視線を受け、どう返事をするべきか困ったメルメメルアが、ラディウスの方へと顔を向けて問う。

 

「そうだな……。まあ、俺たちもゼグナム解放戦線とは別に動いている所があるし、協力者はひとりでも多い方が色々と助かるのはたしかだが……。いいのか? 帝国の一部は味方になるかもしれないが、『軍』とは敵対関係になる可能性が非常に高いぞ? 士官候補生なんだろう?」

 ラディウスがそう問い返すと、女性は首を横に振った後、

「構わぬ。私は貴族でも何でもない平民の出だ。後ろ盾など皆無な私では、今の帝国軍で士官になったとしても、ロクな事にはならなさそうだからな。というか、使い潰されて死ぬだけな気しかしない」

 と、そんな風に言い放って肩をすくめてみせた。


 それを聞いていたテオドールが、再び同意するように頷き、 

「そうですね。今の帝国軍ではそうなる可能性が高い……と、私も考えます。特に現皇帝は色々と謎が多い方ですし、皇帝との繋がりが強い軍の中枢に近づけば近づく程、闇の深淵……とでも呼ぶのが相応しい『戻れなくなる領域』に足を踏み入れる事になるのは間違いないと言えるでしょう」

 などという言葉を、断言するように紡ぐ。


「まあ、『エリミネーター』や『精神制御突撃兵アンウィル・トゥルーパー』なんてものを生み出すのに、自国の兵士すらも実験体として使うような奴らだしなぁ……」

 テオドールの言葉に対して、ラディウスが誰にともなくそんな事を呟くと、それを聞いていた女性が、

「その話、先程メル……メルメ……メル嬢から聞いたが、やはり私が以前目撃したのは……してしまったのは、夢でも幻覚でもなかったのだな……」

 などと、深いため息と共にそう言って額に手を当てた。

 どうやらメルメメルアの名前に関しては、しっかり出てこなかったらしい。

 

「目撃してしまった……です? えっと……一体、何を目撃したのです?」

「その話をすると、かなり長くなる。私と同じように囚われている者たちを解放しながら、話すという形でどうだろうか?」

「うーん……。たしかに、まだまだ救出しなければいけない人はたくさんいるのです。分かったのです、その形でお願いするのです」

 女性の提案に対してメルメメルアがそう返事をすると、女性はそれに頷いてみせ、

「では、そうしよう。――ああ、そういえば名乗りがまだであったな。私の名はエレンフィーネ・メルカーナ。良く『フィーネ』と呼ばれている故、そう呼んで貰って構わんぞ」

 と、そんな風に名乗った。

ラディウス側の直接的な仲間が、またひとり増えそうですが……?

そういえばこの世界、並行世界なのに「同一人物」がいませんね……?


といった所でまた次回!

次の更新は平時の間隔通りとなりまして……6月26日(日)の予定です!

ただ……6月末~7月頭にかけて、色々ある都合で、再び少し更新頻度が落ちます……

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