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第6話 聖木の館攻略戦。セシリアとアメリア。

今回は若干長めです。

「そりゃあぁぁあぁぁぁあああぁぁぁっ!」

 気合の籠もりまくった叫びと共に聖剣を振り回し、敵兵を次々に薙ぎ払うセシリア。

 

 突っ込んで左右に連続で斬りかかる、間合いを詰めて縦一文字に斬る、そのまま刃を返しつつ逆袈裟斬り、勢いよく突き刺して真上に斬り上げる、敵兵を踏み台にしつつ跳躍、ついでに斬る、そこから壁を蹴って敵兵の横腹に飛び蹴りを叩き込みつつ斬る、着地と同時に身を低くして回転斬り、低い姿勢からの突進と共に斬り上げ、敵兵の攻撃を受け流しつつ、地面を滑るような動きで斬りかかる――


 兎にも角にも、斬る! 斬る! 斬る! な光景である。 

 そこに隊員たちの想像した『激戦』など、一切なかった。

 むしろそこにあったのは、セシリアが剣を、あるいは自身を舞わせる度に、敵兵が倒れていくという一方的な蹂躙、無双と言っても過言ではないものであった。


 もっとも、そんな戦い方をしつつも、誰一人として殺してはいないのだが。

 ただし、それは慈悲の心によるものなどではなく、『殺さずに戦闘継続が困難な程度に負傷させる事で、敢えて敵に治療を行わせて動きを鈍らせる』という戦術的な思考によるものである。

 元々殲滅しないつもりだからこそ、敢えてこうしたのである。

 

「えっと……まさに舞い踊ると表現したくなるような、そんなとんでもない動きでで敵兵を薙ぎ倒してるけど……。これ……私たち、いる?」

 アメリアが、次々に敵兵を戦闘不能状態にしていくセシリアを、唖然とした表情で見ながらボソリと呟く。


 一応、セシリアの猛攻を潜り抜けてアメリアたちの方へ迫る敵兵も少しはいるが、大した数ではないので、あっさり戦闘不能状態にして終わりである。

 それは激戦とは程遠いと言わざるを得ない。むしろ……戦いが楽すぎるからこそ、殺さずに戦闘不能で止める余裕があるくらいなのだ。

 ゆえに、他の隊員たちの何人かがセシリアの呟きに同意し、無言で頷いてみせた。

 もっとも、頷かなかった者も内心では同じ事を考えていたりするのだが。

 

「いや、なんでそんな表現? っていうか、さすがに私ひとりだと補える範囲狭い……あ、抜かれた!」

 アメリアの呟きをしっかり聞いていたセシリアがそんな風に返す。


「――ロックバタリングラムッ!」

 アメリアは、セシリアの「あ、抜かれた!」の言葉に反応し、即座に魔法を発動。

 わざわざこちらに迫ってきた敵兵を、ハンマーの形をした岩で吹き飛ばして軽度の裂傷と中等度の打撲を負わせつつ、壁に激突させて気絶させた。

 そして、思考を巡らせ始める。

 

 ――『補える範囲が狭い』……というのは、逆を言えば狭い場所での戦いなら、セシリア単独で問題ないという事であり、狭い場所にセシリアを配置すれば単独で抑えられる……いや、一掃出来る……という事でもあるよねぇ……

 ただ、両手持ちの大剣を使ったあの戦い方からすると、狭すぎても駄目だから……広すぎず狭すぎずな場所……かぁ。


 アメリアはそこで思考を中断し、一度向こう側の世界に移動。

 ルティカの兄ザイオンと共にいるテオドールに対し、良い場所がないかと尋ねてみた。


 すると、

「ふむなるほど……。それでしたら、現在アメリアたちがいる場所のすぐ近くに、『保安棟』の玄関がございます。そこから建物内に入り、中で戦うのが良いのではないでしょうか。彼の建物の通路は横幅が広く、あの聖剣を振り回してもぶつかるような事はありませんので」

 という答えが返ってきた。


 ――うん、それなら良い方法があるね。


 テオドールの言葉から『良い方法』を導き出したアメリアは、再びこちら側の世界へと戻ってくるなり、

「シー! ある程度迎撃したら、無視してそこの棟の玄関方面へ突っ込むよ!」

 と、敵兵に敢えて聴こえる程の声量でセシリアに告げつつ、指で斜め前方に見える建物を指さしてみせた。

 ちなみにシーというのは、敵兵に聴こえても構わないようにしたもので、セシリアの頭文字のCである。

 

「……あ! 了解!」

 一瞬誰の事を言っているのか分からなかったが、すぐに自分に対して言っていると気付くセシリア。

 

 アメリアの提案を了承したセシリアは、そのまま数人の敵兵を切り払うと、素早く周囲を見回す。

 すると、敵兵の動きに勢いがなくなっているのがわかった。

 自身の猛攻で怯んだのだろうと判断し、アメリアに視線を向ける。

 

 アメリアはその視線に気づき、速やかに「移動開始!」と告げ、隊員たちと共に、先程指で示した建物に向って駆け出し始める。

 

「突入してしまえばこっちのもんだよね!」

 セシリアは敢えてそう大声で言い放ち、威力の低い魔法を適当にバラ撒くと、アメリアたちの後を追って走り出した――

当然と言えば当然ですが、アメリアたちも世界を移動してこういった事が可能です。

……それにしても、アメリアとテオドールは『リンクが繋がっていない』のですが、果たしてアメリアが会話したテオドールは、一体『どのタイミング』のテオドールなんでしょうね……?(何)


とまあそんな所でまた次回!

……そして、その次の更新なのですが……申し訳ありません、再び平時より1日多く間隔が空く形となりまして……6月2日(木)を予定しています!

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