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第5話 聖木の館攻略戦。精密射撃の聖女。

「あ、やっぱりあの時の護衛の冒険者――のフリをしていた……えーっと……名前は、私と2文字違いだから……そうそう、アメリア……だったよね?」

 顎に手を当てにながら以前の名乗りを思い出しつつ言うセシリアに対し、

「うん、正解」

 と答えて頷くアメリア。


「てっきりあの時のもうひとりの冒険者――ルティカと一緒に、アルフォンス猊下の方にいるのかと思ってたけど、こっちに居たんだね」

「正確には『帝都から来た』かな。あっちはそこまで厄介なものでもないし、こっちの方が重要だからね」

「なるほどね。まあ、こっちは戦力が多いにこした事はないし、助かるけど」

 納得の表情でアメリアに対してそう返事をしながら、木に登って隠れていた敵兵をショットモードの魔弾で撃ち抜くセシリア。

 

 木から落下し、動かなくなった敵兵を見ながら、

「話しながらサラッと隠れている敵兵を見つけてぶち抜くとかとんでもないね……」

 と、アメリアが少し呆れ気味に言う。


「見つけたというか、索敵魔法――マリス・ディテクターで場所がわかってただけだけどね。ま、監視要員ぽかったから、余計な情報を追加で送られたりすると困るし、瞬殺しちゃったけど」

「さすがラディウスさんの規格外魔法……。この兵士、ステルス魔法を使っていたらしくて、私の持つガジェットの索敵魔法じゃ、感知出来なかったし……」

「ま、ラディの魔法から隠れるのはかなり難しいと思うよ」

「ホント、さすがだねぇ……。うーん……これなら、術式通信も普通に使える可能性も……」

 そう言って何やら思考を巡らせるアメリアに、セシリアが首を傾げて問う。

「ん? どういう事?」


「あ、えっとね……ここはまだ問題ないけど、おそらく聖木の館の中は、通信が妨害されて使えない可能性が高いんだ。だから、『外』――ザイオンと即座にやり取り出来るようにしておいた方が良いって考えたわけ」

「あー……なるほどね。たしかに通信が使えない状態であっても、向こうの世界へ移動して情報を伝える事は可能だね。私たちも似たような事してるし」

 アメリアに対してそう返した所で、ふと疑問が湧いたセシリアは、首を傾げながら問いの言葉を投げかける。

「……あれ? って事は、ザイオンもグランベイルに?」


「うん、家督を譲って隠居した老貴族の護衛……という名目で、ルーナさんの宿に滞在しているよ」

「……その老貴族って……」

「テオドール元宰相閣下だよ」

「だよねぇ、やっぱり」

 アメリアの返答に、人差し指で頬を掻きながらそう返すと、

「さっきの監視要員と連絡がつかなくなって、様子を見に来たって所かな? でも、もうちょっとちゃんと隠れてないと、射抜かれるよ? こういう風に」

 なんて事を言い放ち、ショットモードの魔法弾を、建物の2階部分にある鉄格子の嵌った窓ガラスに向って発射するセシリア。

 

 そしてその直後、ドサッという人の倒れる音がアメリアの耳に届いた。

 アメリアはそれに対し、驚きと呆れの入り混じった声で呟く。

「……いくら、隠れている場所が分かっていても、窓越しにこちらの動きを伺っている相手に対し、窓ガラスをぶち破って魔法弾を当てるってのは難しいような……」

 と。

 

「そうかな? 顔が見えていたし簡単だと思うけど……。この魔法弾、窓ガラスなんて無いも同然の貫通力があるし、発射時にブレないし」

「う、うーん……。剣の聖女ならぬ精密射撃の聖女になりつつあるような……。というか、それもラディウスさんの? 聖剣じゃないの?」

「あ、ラディに射撃も可能なように聖剣を改良して貰ったんだよ。弓やクロスボウじゃ出来ないような、凄まじく精密な射撃が出来るんだよね」

「なんだかもう、さすが……という言葉しか出てこないなぁ……。っと、それはそれとして、さっきの応援要請に応えた部隊がようやくご到着みたいだね。私の索敵魔法でも捉えられたし」

 セシリアに対する返事の途中で、展開中の索敵魔法の反応を感じ取ったアメリアがそんな風に告げる。


「うん、やっと来たね。数は思ったよりもちょっと多いかな? やっぱり待って正解だったね、ふふっ」

 セシリアは迫る敵兵の数を把握し、想定よりも多く引き寄せられた事を認識した。

 そして、自身の役目を――ラディウスから任された役割をバッチリ果たせた事に対し、自然と笑みが溢れる。


「そこで笑うとか、怖いから……。ヴィンスレイドの時にもちょっと思ったけど、あなたって妙な所で好戦的というか……喧嘩を売る気満々! という感じになる時があるよね。……主に、ラディウスさんが絡む時に」

「そ、そ、そうかな? そんな事ないと思うけど……? あ、でもほら、このくらい来てくれないと陽動の意味ないでしょ? うんうん。……と、というわけで! 接近中の敵兵を殲め……じゃなくて、ある程度残して増援を要請させる形で迎撃するよ!」

 妙な焦りが混じったセシリアの号令に対しアメリアは、殲滅って言いそうになったよね……と心の中でため息をつきつつも、「了解!」と答え、得物を構える。


 それに続くようにして、他の隊員たちも「了解!」と続くか、あるいは声こそ発さないものの首を縦に振って了承の意を示した。

 そして、「思ったよりもちょっと多い」というセシリアの言葉に、敵兵の数の多さと激戦となるであろう事を想定し、各々の得物を強く握り、全身を緊張させる。


 ……しかし……

ラディウスのガジェット技術とセシリアの戦闘技術、2つの凄まじく優れた技術が合わさって、相乗効果で恐ろしい力になっていたりします。いわゆるシナジーという奴ですね(何)

そして、「……しかし……」で終わっていますが……?


といった所でまた次回! 

次回は平時の更新間隔となりまして、5月29日(日)を予定しています!

……その次は、また1日多く空いてしまう可能性がありますが……

(無論、なるべく平時の間隔で更新出来るようにしたいとは思っていますが……)


※追記

5月29日は日曜日でした…… orz


また、言い回しがちょっとおかしかった『喧嘩を売りに行く気満々』の所を、『喧嘩を売る気満々』に変更しました。

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