第6話 エリミネーター掃討後。教える者、教わる者。
「あ、いや、その……ほら、ラディに改造して貰ったばっかりだし、今度は自力でどうにか出来ないかなーってね。ルーナほどじゃないけど、一応私もラディからガジェットの作り方とか習ってるし、どうにか出来るんじゃないかなって」
セシリアがルーナの問いかけにそう答えると、
「あれ? セシリアさん、ラディウスさんにガジェットの作り方を教えて貰っているのです?」
というルーナと別の声――メルメルメアの声が、セシリアの耳に届いた。
「そうだよ。もっとも……同じくラディウスから教わっているルーナほどの理解力も器用さもないから、まだ大した物は作れないんだけどね。……あ、クレリテよりはマシかも」
「むむむ!? それはつまり、ルーナさんとクレリテさんも教えて貰っているという事ですっ!? なんだかちょっとズルいのですっ! 私にも教えて欲しいのですっ!」
セシリアの返事を聞いたメルメメルアがそんな風に言って、ラディウスの方を見る。
「あ、ああ。まあ……リンクしているから教えやすいし、別にいいが……」
そんな風にラディウスが答えると、メルメメルアは目を輝かせながら、ずずいっとラディウスに近づき――いや、圧を感じる程の勢いで迫り、
「なら、早速なのです! 合流するまでの時間で色々教えて欲しいのです!」
と、言葉を投げかけた。
「お、おう。そ、それは別に構わないが……」
メルメメルアからのあまりの圧に、少し後退しながらそう返すラディウス。
「じゃ、じゃあ、私も壁を作る方法が知りたい!」
今度はセシリアからそんな声が上がる。
「壁――要するに防御障壁を展開したいって事だよな。うーん……それなら、大して難しい術式でもないし、ルーナでも分かると思うぞ?」
と言ってルーナの方へと視線を向けるラディウス。
「そうね。私でも教えられるわよ」
「えっ!? ええっ!?」
同意して頷くルーナに対し、驚きと残念さの入り混じった声を発するセシリア。
「何よ、私じゃ不満なの?」
「い、いや、そんな事はないけど……」
「じゃあ問題ないわね」
ルーナは有無を言わさない雰囲気でそう告げると、セシリアは「むぅ……」と小さく呟いてから、実際問題、防御障壁を展開出来るようになれば、便利である事は間違いないと考え、
「じゃ、じゃあ、その……とりあえず教えて……。理解出来るか分からないけど……」
と、わずかに肩を落としながら言った。
その様子を見ながら、メルメメルアに対し言葉を投げかけるラディウス。
「セシリアの方はルーナに任せておけば大丈夫そうだな。――それじゃあメル、何を教えて欲しいか言ってくれ。……まあもっとも、俺もなんでも教えられるわけじゃないから、メルの期待に沿う事が出来るかどうかは分からないけどな」
「大丈夫なのです! ラディウスさんに分からない物なんて、そもそも私が理解出来るはずもないのです! だから問題ないのです!」
「う、うーん? そ、そういうもの……か?」
メルメメルアが妙に胸を張って言ってきた為、いまいち会話の繋がりがおかしい気もしたが、ラディウスは勢いに圧されて、そんな曖昧な返事しか出来なかった。
そんな4人のやり取りを眺めていたカチュアはというと……
――うーん……。なんだか一瞬、メルお姉ちゃんが小さくガッツポーズしたように見えたですが……気のせいだったのでしょうか? です。
なんて事を思っていたのだった――
エリミネーターの掃討は終わっているのに、エリミネーター掃討戦というサブタイトルだと何だか変な感じが今更ながらしたので、ちょっとだけ変えました。
まあもっとも、掃討後というのも微妙ではありますが……
(なお、前の話もこれにあわせて掃討戦から掃討後にしました)
とまあそれはさておき、次回の更新ですが……今の所、平時の更新間隔で問題なくいけそうな感じですので、次回の更新は……4月27日(水)を予定しています!




