第3話 エリミネーター掃討戦。エリミネーターとは。
一方その頃――
「結局、こいつらって何者なの?」
ルーナが魔法で周囲のエリミネーターを吹き飛ばしながら、ラディウスに問う。
「おそらくだが……聖木の館で行われている『精神制御突撃兵』とやらを生み出す実験に使われた人間……被検体の成れの果て、って所だろうな」
ラディウスは忌々しげにそう答えつつ、残っていたエリミネーターを銃で掃討。
周囲からエリミネーターの気配が完全に消失する。
「酷い話ね……。あ、周辺に残っている敵はいないわよ」
「ああ、わかった。次の固まっている地点へ向かうとしよう。こうなってしまった者を戻すのは流石に不可能だ。せめて『歪んでしまったその生命を終わらせてやる』のが、ベストではないがベターというものだろう」
「……そうね。全てしっかりと葬ってあげるのが一番よね」
ふたりはそのままマリス・ディテクターで捉えているエリミネーターの集まっている地点へと向かって走り出す。
そして、走りながら、
「――ところで……被検体って、聖木の館とかいう所に連れてこられた一般市民とか、『災厄』の前の世界から時を超えて来たカチュアやメルメメルアと同じ古の時代の人間や獣人って事よね……」
と、少し悲しみを帯びた表情でラディウスに向かって言葉を投げかけるルーナ。
「……おそらくな。ただ……」
頷きつつもそう返してきたラディウスに対し、ルーナは首をかしげる。
「ただ?」
「それだけで、これほどの数になるとは思えない。……『帝国魔導機甲師団』とかいう所に所属する兵士も、全てではないだろうが、被検体にされているんじゃないか?」
「本当に、碌でもない……外道の極みみたいな存在ね、その聖木の館の実験に関わっている奴らは」
ラディウスの返答に対し、ルーナはやれやれと言わんばかりに、しかし怒気の混ざった表情で、ため息混じりに首を横に振ってみせる。
そして一呼吸置いてから、
「そこまでして『精神制御突撃兵』なんてものを生み出して何をしようっていうのかしら……」
と、もっともな疑問を呟くように言った。
「それはわからないが……意思――自我を持つ人間では困るような理由があるのかもしれないな」
「自我をもつ人間では困る理由ねぇ……」
「ま、現時点ではどれだけ考えても推測止まりだ。聖木の館を制圧すれば、なにか情報が得られるだろうから、あれこれ考えるのはその後だな」
ラディウスにそう言われたルーナは、「それもそうね」と返し、マリス・ディテクターを発動。
「――残敵は……50ちょっとって所ね。……って言ってる間に50を切ったわ」
と、告げた。
「セシリアの奴、ビームを撃ち過ぎなきゃいいんだが……」
「まあ、セシリアもマリス・ディテクターで敵の配置は掴んでいるはずだし、そうそう無駄撃ちはしな――」
そこまでルーナが言った所で、セシリアの放ったと思われるビームの光が見えた。
「……い……と思うわ。多分……」
存在反応が消滅したエリミネーターの数が大した事なかった為、ルーナは歯切れ悪くそんな風に言葉を続ける。
「……セシリアの奴、マリス・ディテクターを使って敵の数と配置確認するのを、完全に忘れているんじゃないか……?」
ラディウスは視界に入ったエリミネーターの密集地点に向かって、いつでも攻撃出来るよう銃を構えて走りながら、ため息混じりにそう呟いた。
何気に『精神制御突撃兵』という用語、久しぶりの登場になった気がします。
とまあそんな所でまた次回!
次の更新は先日記載した通り、平時より1日多く間隔が空きまして、4月17日(日)の予定です!
……どうにか平時の更新間隔に戻したいとは思っているのですが、なかなか難しく……
もう少し、更新間隔が不安定な状態が続きそうです……




