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第10話 街へ赴いて。エル・ガディアとガジェット。

「ちなみにドールガジェットなのですが、たしか……エル・ガディアのゴルドール派が最初に生み出したモノだった気がするのです」

「ゴルドール派……。同じエル・ガディアのセヴェンス派とやらについては、妖姫から聞いて知っているが……ゴルドール派については知らないな。そっちはどういう派閥なんだ?」

 妖姫から聞いた話を思い出しつつ問うラディウスに対し、

「高位の魔物を、安全かつ素早く撃滅する技術の確立を目的とした一派なのです。遺跡で発見される攻撃魔法が組み込まれたガジェットの半数以上は、このゴルドール派の生み出した魔法式――術式が基になっていると言っても過言ではないくらいなのです」

 と、そんな風に説明するメルメメルア。

 

 それを聞いてラディウスは再び思考を巡らせる。

 

 ――なるほど……。対魔物、それも高位の魔物に有効な魔法……いや、ガジェットの開発をメインとする一派って感じか……

 たしかにドールガジェットの戦闘力なら、ほとんどの魔物を楽々倒せるような気がするが……殲滅力が高すぎるというか……多数を相手にする事が前提なのが気になるな。

 魔物は基本的に単独か少数での活動が基本だ。

 いくら古の時代だからとはいえ、魔軍事変のような魔物の大軍が押し寄せるような出来事が頻繁にあったとは思えないし……やはり、『災厄』絡みである可能性が高そうだが……

 うーむ……。そうなると、『災厄』というのは魔軍事変のように、魔物の如き『人の命を奪うだけの存在』が大量に押し寄せてくる……とか、そんな感じのものだったのだろうか?

 地球にいた頃にそういう類の化け物を相手にする話をいくつか見た事があるし、この世界ではそれが実際に起きた、という可能性もありえなくはないよなぁ……

 

 と。

 

                    ◆

 

 ラディウスとメルメメルアのやり取りを聞いていたクレリテが、意外だと言わんばかりの表情で、

「凄まじい威力の攻撃魔法をガジェットに組み込むラディが、ゴルドール派を知らないとは思わなかったのだわ」

 と言うと、ラディウスがそれに対し、

「まあ……俺の術式は半分以上が我流だからなぁ……。村にあったガジェットを見様見真似で模倣したのが始まりだし」

 などと、そんな風に答えた。


 ――おいおい、見様見真似で、あんな高度な技術を得たのかよ……?

 ――そのガジェット自体が非常に高度な技術で生み出された物である……といった所でしょうか?

 

 ラディウスの発言を聞いたアルフォンスとリゼリッタは、言葉を発する事なく、アイコンタクトだけでそんなやり取りをする。

 幼少期からずっと共に育ってきたからこそ出来る芸当ともいえる。

 

 無論、それはクレリテも同様であり、ふたりの疑問を自らが問いの言葉に変えた。

「そのガジェットはどんな代物なのだわ?」


「んー、時空に関係する魔法が組み込まれていたガジェットだな。まあ、作りかけだったのか、組み込まれていた魔法の多くが使い物にならなかったから、村ではガラクタ扱いされていたけどな」

 なんて事を言って笑うラディウス。

 

 そしてラディウスは、そういえばあのガジェットが、過去へ遡るための魔法を生み出す第一歩になったんだよなぁ……と、そんな事を思う。

 

 ――時空とか言い出したのだわ……

 ――ああ、色々と納得だぜ……

 ――まったくですね……

 

 などというアイコンタクト会話がクレリテたちの間で交わされているとは、ラディウスもメルメメルアも夢にも思わず、ふたりとも今の3人の無言の『間』は、『よくそんな代物からこれだけの技術を得る事が出来たものだな』という感じで唖然としたのだろう……と、そんな風に考えていた。

『エル・ガディア』という名称(国名)、かなり久しぶりの登場になった気がします……


序盤以来、めっきり出番のない『妖姫と同じカタカナ混じりの名前を持つ異形』こと『魔人』や、影将が語っていた『降魔実験』などとも直接的、あるいは間接的に関係があったりするのですが、なかなかそこまで話が進まず……もう少しで色々出てくる予定ではいますが……


といった所でまた次回! 次の更新は前回記載した通り、いつもよりも1日更新間隔が空きまして、3月10日(木)の予定です!


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