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第3話 秘されしモノ。皇帝の謎。

「……それで? グロース・インヒビションというのは、どなたが生み出した物なのですか?」

 リゼリッタが話を戻しつつ、そう問いかける。

 

「残念ながらそこまでは知らない。だが、あれが皇帝宮殿の深奥……代々の皇帝にのみ開く事の出来る『封印書庫』と呼ばれる場所に長い間眠っていた――というか、誰も解読出来ずに放置されていた――古代の書物を元に生み出された物である事は、間違いない」

「……皇帝にのみ開く事が出来るって時点で、皇帝自身か皇帝の信が厚い者が生み出したと考えるのが良さそうだな」

 デーヴィトの話を聞いたアルフォンスが顎に手を当ててそう呟くように言うと、

「現皇帝って、どういう人物なのだわ? よく考えたら知らないのだわ」

 なんて事を、本を物色しながら口にするクレリテ。

 

「まあ、ほとんど……つーか、皆無といっていい程、表には出てこねぇからな。俺もいまいちわからん」

 アルフォンスはそう返事をしつつ、デーヴィトの方へと顔を向ける。

 

 デーヴィトはそれに対し、宮廷魔工士であった頃の事を思い出しながら、

「……言われてみると、宮廷魔工士であった俺ですら、先帝ゼブルバロール様が崩御され、長子であるベルドフレイム様へ皇位が継承された事が発表されたその場以外で、ベルドフレイム様の姿を見た事はないな……。まるでかつて存在した『重装歩兵』を思わせるような、赤と青を基調とした頑丈にして重厚な重甲冑を鎧っていたのは印象に残っているが……」

 と、そんな風に告げた。


「宮廷魔工士ですら、その程度しか見た事がないというのは、相当ですね……」

「まあ、皇帝に即位する前のベルドフレイム様も、宮廷内でほとんど……いや、まったくと言って良い程、その姿を見た事がなかったし、あまり人前に出るのを好む性格ではないのか、あるいは何らかの理由で自由に歩き回る事が出来ないのやもしれん」

 リゼリッタの言葉に対し、顎に手を当てながらそう返すデーヴィト。

 

「どちらにせよ、謎すぎるのだわ」

 クレリテが本を物色する手を止め、やれやれと首を横に振ってみせる。

 

「ああそうだな。……つーか、現皇帝がどういう人物なのか、今まで気にも止めていなかったが……よくよく考えると、『どういう人物なのか、まったく気にならなかった事』自体が不気味だな……」

「そうですね……私も全然気にしていませんでした。クレリテが疑問を持たなかったら、そのまま気にならないでいたと思います」


 そんな風に話すアルフォンスたちを見ながら、

「精神……思考制御の魔法――ガジェットが使われている……のか? いや……大陸全土に及ぶような広域の魔法など、魔力の消耗を考えたら不可能に等しい。だとしたら、どうやっている……?」

 なんて事を小声でブツブツと呟き始めるデーヴィト。

 

 更にそのデーヴィトの呟きを聞いたクレリテが、帰りの船でメルメメルアから聞いた話をふと思い出し、

「……記憶の操作……マインドコントロール……。アルベリヒ……?」

 と、そんな言葉を紡いだ。

予約投稿の設定をしていなかった為、更新が遅くなりました……


何気に皇帝の名前、初登場なんですよね……

こちらの世界は文明(技術)レベルが大きく進んでいるので、甲冑や重装歩兵といったものは、最早完全に過去の存在(遺物)となっていたりします。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新ですが……1月28日(金)を予定しています!

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