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第9話 ガジェットの力。ラディウスとルーナ。

「――帰りは何もなくてよかったのです」

「まったくなのだわ」

 メルメメルアとクレリテはそんな事を言いながら船から降りた所で、

「お、戻ったか。ご苦労さん」

 と、ちょうど出迎えにやってきたアルフォンスがそんな声をかけてきた。


「早速、ラディウスの所へ行くとしようぜ」

 そう続けられた言葉に、カチュアが首を傾げて問う。

「ラディウスさんに何か用事があるのですか? です」


「ああ、ちょっとばかし作って欲しい魔法――ガジェットがあってな。その相談だ」

「それは少し気になるのです。私たちも同行するのです」

 返事をしたアルフォンスに対し、カチュアに代わるようにしてメルメメルアがそう返す。

 カチュアもまたそれに同意するように、首を縦に振った。


 そして、ラディウスのもとを訪れ、向こう側で話した件――セキュリティを突破出来るような高度な潜入魔法を組み込んだガジェットを作れないかという事――について、補足説明を交えながら話をするクレリテたち。


「まさか、皇帝宮殿の中枢に侵入しようと考えているだなんて、思いもしなかったのです」

 一通り話が終わった所でそんな感想を口にするメルメメルア。


「話を聞く感じだと世界最高峰のセキュリティっぽいですが、どうにか出来るのものなのですか? です」

 首を傾げながらラディウスを見るカチュアに、ラディウスは腕を組みながら、

「そうだな……正直、今の説明だけだと向こう側の世界のセキュリティがどういった代物で、そしてどういった技術――術式がメインに使われているのかが良くわからんから、どのくらいの物を作ればいいのかの判断がしづらいな。無論、それが分かれば作れるとは思うが」

 なんて事を言った。


「なるほどなのだわ。でも、たしかにその通りなのだわ」

「逆を言うと、詳しくわかれば作れるという事ですか……。さすがと言うほかありませんね」

 クレリテとリゼリッタがそんな風に言う。

 

 そして、それを聞いていたメルメメルアは、リゼリッタの言葉に心の中で同意しつつ、自宅にセキュリティ魔法について書かれている本もあった事を思い出し、

「私の家に、最新の物を含むセキュリティ魔法について書かれた本があったはずなのです」

 なんて事を、クレリテたちに着いてきたメルメメルアが告げた。


「……メルの家は、図書館か何かなのだわ?」

「……? いえ、普通のアパルトメントなのです」

 少し呆れ気味に問うクレリテに対し、首を傾げつつ、そんな風に答えるメルメメルア。


「……やっぱりメルお姉ちゃんは昔から変わっていないですね、です! というかむしろ、昔よりも本に対する収集癖が悪――収集力が大幅に向上していますですね!」

「……確実に今、『収集癖が悪化している』って言おうとしてたわよね……」

 カチュアの発言に対し、ラディウスの対面に座るルーナが小声でそんな風に呟く。


 そしてラディウスもまた、口にはしないものの心の中でそれに同意しつつ、

「まあ……なんだ? ちょっとした図書館並の蔵書なのは間違いないな。実際、気になる本がチラホラあったし」

 と、そんな事を付け加えるように言った。

 

「なら、その本も例の本と一緒に持ってくるとするか。……構わねぇか?」

 アルフォンスがそう言いながらメルメメルアへと顔を向ける。

 

 問われたメルメメルアはアルフォンスに頷いてみせ、更に告げる。

「はい、持ち出して貰って全然構わないのです。むしろ、他にも何かに使えそうな本があったら、特に私に言わずに持ち出して貰って構わないのです」


 それを聞いたリゼリッタとクレリテは顔を見合わせ、

「……これは、確実に他にも何か役立ちそうな本がありますね……」

「だわだわ、色々探して持ち出すのだわ」

 などと小声で口にした。最早、物色する気満々といった感じだ。

 

「だったら、例の呪いをどうにかするガジェットは、私が仕上げておくわよ? これだけ詳しい設計図や構成仕様書があれば、私でもそのくらいは出来るし」

 ラディウスがテーブルの上に広げている、ラディウス自身が書いたガジェット自体の設計図や、組み込むべき術式の構成仕様書を見ながらそんな風に言うルーナ。

 

「……私には見てもさっぱり分からないのです」

 そう呟くように言うメルメメルアと、その横で言葉こそ発さないものの、首を縦に振って同意を示すカチュア。

 

 ――リゼも口にしていたが、ラディウス程ではないにせよ、やはりルーナの知識と技術も凄まじいな。

 だが……ラディウス程、その技術力が戦争に用いられたとしても『ヤベェ結末になる』ようには感じねぇ……。一体何なんだ、この差は……

 

 アルフォンスはルーナたちを見ながら、自身の中に湧いたそんな妙な感覚に対し、ひとり静かに首を捻った。

ちょっと長くなりましたが、途中で区切ると次の話が非常に中途半端な事になってしまう為、一気にラストまで書いてしまいました……

ともあれ……これで次の話からは節が変わります。本格的に『向こう側』への話の舞台が移っていきますよ!


そして、そんな次の更新ですが……1月19日(水)を予定しています!

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