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第8話 ガジェットの力。アルフォンスの予感。

今回は若干長めです。

「なんにせよ、戦争にラディウス様の力――いえ、生み出す魔法……ガジェットで言えば、ルーナ様も同様と考えた方が良いでしょうね。おふたりが戦争に大きく関わるような事態は、避けるようにしないといけませんね」

「まったくなのだわ。大規模破壊魔法の撃ち合いなんてお断りなのだわ。というより、ふたりを大量殺戮魔法の作り手にしてしまう様な事自体がお断りなのだわ」

「そうですね。……まあもっとも、そんな最悪中の最悪の結果になる事は、早々ないとは思いますが」

「ああ、俺もそう思いたい所だが……」

 リゼリッタの発言に対し、アルフォンスがそんな歯切れの悪い言葉を返す。


「もしや……いつもの、ですか?」

 そう問いかけるリゼリッタの方を見てアルフォンスは一度目をつぶってから、

「……いつものと言えばいつものだが……実の所、ラディウスの技術力が戦争で用いられた場合、確実に制御出来ずに『ヤベェ結末になる』……そんな漠然とした――いや、確信めいた予感があるんだよ。なんでだかわからねぇけどな」

 と、意を決したような表情で告げた。


「……確信めいた予感……なのだわ? いつもの予感といえば予感ではあるけれど……こういう時に良くアルが言っている『漠然と感じる未来の可能性を感じた』というのとは、なんだか違うように感じられるのだわ」

 首を傾げながらそう口にするクレリテに、リゼリッタが同意するように首を縦に振る。

「そうですね。『確信めいた予感』というのは、今までになかったパターンですね。なんというか……いつもよりも明確で、もはや予言に近いと言えなくもない感じです」


「ああ、口にした俺が言うのもなんだが……まさに予言っぽい感じだな。なんというか……その方向へ歴史が進んだら『必ずそうなる』つーのが認識出来てしまう……そんな何とも言えねぇ妙な感覚でな……。正直、今までそんな風に感じた事は一度もねぇもんだから、俺自身すげぇ戸惑ってるぜ」

 額を右手で軽く押さえながら、そんな風に言うアルフォンス。


「……おかしいのだわ。それを否定する言葉が出てこないのだわ。……それに、何故か注意が必要だというのが私にもヒシヒシと感じられるようになったのだわ」

「ええ、そうですね……私も同じです。……ラディウス様は『歴史』に対する影響力が凄まじくある、という事なのでしょうか……」

「そうだな、その可能性は十分にある。あるいは……妙にビブリオ・マギアスの連中が固執しているカチュアの影響力である可能性も考えられるな」

 クレリテは、リゼリッタに対してそんな風に返したアルフォンスの発言の意味が良く分からず、

「んん? どういう事なのだわ?」

 と、そう言って首を傾げた。

 

「簡単に言えば、カチュアが過去に戻る力がいわゆる歴史の『分岐点』――『特異点』と化しているっつー可能性だな」

 そんな風にアルフォンスに説明されたクレリテは、しばし首をひねって考えた後、

「……全然簡単じゃないのだわ」

 なんて事を口にする。

 

「要するに……カチュアさんが歴史に対して、非常に影響を与えやすい性質を持っている、という事ですね。普通の人が歴史に介入しようとしても、小さな変化を起こすのが精一杯です。ひとりの力で世界をどうにかするような大きな流れを変える事など、まず出来ません」

 アルフォンスに代わり、そんな説明をしてくるリゼリッタに対しクレリテは、

「それは……まあ、そうなのだわ。そんな事が出来るのなら、今すぐ過去に戻ってゼグナムが――王家が滅ぶのを防ぎに行くのだわ」

 と答え、肩をすくめてみせた。

 

「……しかし、カチュアさんには『条件が揃えば、それが出来てしまう』可能性がある、という事です」

「ほわっ!? そ、それはさすがに驚きなのだわ……。でも……たしかにそれであれば、ビブリオ・マギアスがあそこまでカチュアに固執している理由が理解出来るというか……納得出来るのだわ」

 リゼリッタの言葉に驚きの表情を見せ、そう呟くように言うクレリテ。


 それを聞いたアルフォンスが、クレリテに対して頷きながら言葉を紡ぐ。

「ああ。連中が進めていやがる何らかの『計画』が、一瞬にして水泡に帰しちまう可能性があるわけだからな。しかも、下手したら『自分たちの気づかないうちに』だ」

 

 そんなアルフォンスの言葉を聞き、クレリテはふと思う。


 ――私たちの『ゼグナムの解放』を目指す戦いが、カチュアによって『自分たちの気づかないうちに』水泡に帰す事がわかったら、私はどうするのだわ……?

 無論、そんな事はほぼありえないのだわ。でも……もしも、そんな状況になったとしたら……?

 当然だけれど、ビブリオ・マギアスのような手段は取るつもりは、絶対にないのだわ。

 だけど、それなら……どうするというのだわ?

 

 と。

最初はカチュアの話が出てくる手前辺りで区切ろうかと思ったのですが、どうにも区切りが悪かったので、ここまで一気に書いてしまいました……


なお、この節は次の話でラストになる予定です。

まあもっとも、あくまでも予定ではありますが……


そして、この節のラストの話となる予定の次の更新ですが……1月16日(日)を予定しています!

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