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第7話 ガジェットの力。ラディウスの技術。

「まあ、ラディに頼むのが気が引けるというのなら、しっかりラディの作ったガジェットを使って、ラディの要請に対して最大限の成果を出せば良いのだわ」

「それは……たしかにそうかもしれませんね。……ラディウス様に作っていただける事が前提になっているのが気になりますが、そこは置いておきましょう」

 クレリテの発言で合点がいったのか、リゼリッタはそんな風に答える。

 そして……

 

 ――ラディウス様に頼めば間違いなく作ってくれるであろう事は、クレリテやアルの話を聞いていれば、ほとんど直接話をしていない私でもわかります。おそらくそういう人なのでしょう。

 であれば……グロース・インヒビションのみならず、妖姫についての色々と情報を得たい所ですね。そうすれば、ラディウス様の望みを十全以上に満たせるはずですし。

 

 なんて事を思った。

 この段階では、ラディウスはまだ作れるとも作れないとも言っていないのだが、一種の全幅の信頼めいたものがリゼリッタの心の中にも生まれていた。

 それはリゼリッタ自身が、自分で思っている以上に、アルフォンスやクレリテの言動の影響を受けている――というか、影響を受けやすいからだった。


「それにしても、ふたりともラディウス様の事を大分信頼していますね」

「それは簡単な話なのだわ。ラディと今まで何度か共に行動してきて、ラディなら道を誤る――踏み外すような事はないと分かっているからなのだわ」

「ああそうだな。そいつは俺も少し話しただけで凄く感じたぜ」

 アルフォンスはクレリテに対して頷いみせると、腕を組み、そして言葉を続ける。

「……ただ、な。ラディウス自体は道を踏み外したりする事はねぇだろうが……技術の方は別だ」

「技術の方は別? それはどういう事なのだわ?」


「ラディウスの生み出す魔法――ガジェットの技術の方は、注意しねぇとあっさり広まりかねねぇって事だ。特に俺たちのように『大きな戦い』をしている状況下では、ラディウスのガジェットを使う者を極力絞るとか、そういう対策を行わねぇとヤバい」

「……なるほど、たしかにそうですね。誰彼構わず強力なガジェットを与えた場合、誰かが敵に殺されたり捕えられたりして、ラディウス様のガジェットを鹵獲されてしまった場合、敵に強大な力が渡ってしまう事になりますからね」

 アルフォンスの説明を聞いたリゼリッタが顎に手を当てながら、納得顔でそう返すと、クレリテもまた納得した様子で、

「理解したのだわ。そこから更に解析とかされたら大変な事になるのだわ」

 と、言った。

 

「ああ。そういう凄まじい威力を持つ魔法の撃ち合いとかになった日にゃ、敵も味方も、下手をしたら一般人すらも巻き込んで、壊滅的な被害を出す事になっちまうからな。……それこそ、戦い――『戦争』の決着が『魔法の撃ち合いの結果、双方の陣営から大半の人間が消滅したから』なんつー最悪すぎるオチになったとしても、おかしくはねぇくれぇだ」

「……たしかに、なのだわ。冗談で終わらない可能性があるのが恐ろしいのだわ」

 アルフォンスの言葉に対してクレリテは、自身が使っているラディウス製ガジェットの魔法の威力を思い出し、『最悪すぎるオチ』になる可能性を否定する事が出来ず、そう返す。

 そして……

 

 ――魔物の群れや、下っ端とはいえビブリオ・マギアスの構成員を一掃する程の威力を持つ魔法……たしかに凄まじすぎるのだわ。

 明確な敵性存在――魔物やビブリオ・マギアスが相手だったせいで、あまり気にならなかったのだわ……

 でも、冷静に考えるとあれが戦争で多用されるような事になったら、アルの言う通り、とんでもない結果になる可能性は十分ありえる話なのだわ……

 無論、アルの言うのは極端な例……最悪中の最悪の結果ではあると思うけれど、でも……心の隅で、それを完全に否定する事が出来ないもやっとした物があるのも、また事実なのだわ……

 

 と、そんな事を考えるのだった。

今回は、本作の冒頭の『世界(歴史)』にちょっと関連する話でした。

……そして、思った以上に長くなってしまったので、一旦ここで区切りました。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は1月13日(木)の予定です!

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