第2話 ガジェットの力。共鳴という言葉。
「えっと……つまり、あのメルメメルアって人はその並行世界から来た人で、カチュアちゃんや、教皇様たち教会の偉い人たちもそっち側の人……と?」
ラディウスたちの説明を聞いたルーナが、テーブルの上に置かれたガジェットを見ながら、そんな疑問の言葉を口にする。
それに対し、アルフォンスは頷き、
「ああ、そういうこったな。……一応、誤解のねぇように言っておくと、神剣教会はこっちが発祥のモンだし、上層部の人間の全てがあっち側の人間ってじゃねぇつーか、むしろ全体から見たらあっち側の人間の方が少ねぇ感じだ。ただ……例外的に俺の周りは色々な理由があって、あっち側……ゼグナム解放戦線の関係者が多い状態にはなってるがな」
と、答えた。
「な、なるほど……そうなんですね」
ルーナはそうアルフォンスに返すと、セシリアの方に顔を向け、問いの言葉を投げかけた。
「って、そういえばセシリアはどっち側なの?」
「私はラディと同じでこっち側の人間だよ。そもそも、向こう側の存在を知ったのは、そのガジェットに触れた時だしね」
セシリアがそう答えた所で、ラディウスが肩をすくめながらそれに続く。
「まあ、俺もヴィンスレイドの持っていたガジェットに触れなかったら、向こう側の世界――並行世界の存在を知る事はなかっただろうな」
「で、ラディとセシリアはリンクした、と?」
「リンクしたにはしたが……意図的にそうしたわけじゃなくて、勝手にリンクしたって感じだな。どういう仕組みなのか俺にもさっぱりだが、セシリアがガジェットに触れた瞬間、自動的にセシリアとリンク状態になったんだよ」
ルーナの問いかけに対し、ラディウスは腕を組んでそう答える。
「ん? 自動的にリンクした? おかしいな……俺らの場合は、魔法と同じ感じで頭の中にリンクする方法が浮かんで来たんだが……」
そう呟くように言いつつ、首を傾げて思案する仕草をみせるアルフォンス。
それに対し、ラディウスが驚きながら問いかける
「え!? そ、そうなのですか?」
「ああ。むしろ、今まで自動的にリンクした事の方がねぇ感じだ。……まさか、ビブリオ・マギアス製のガジェット特有の反応……なのか?」
「その可能性は……あるかもしれませんね……」
「そういえば……カチュアちゃんのガジェットが発動して過去に戻った時と、それによって私たちのガジェットとリンクして並行世界へ移動した時に、ラディが『共鳴』って言ってたよね」
ラディウスのアルフォンスへの返答を聞いていたセシリアが、額に人差し指を当てて、思い出しながら……といった感じでそう口にする。
「そうだな、たしかにそう言ったな」
「あの時って、なんでその言葉を使ったの?」
「ああ、あれは過去の経験からそうとしか思えない反応を示したってのと、オルディマたちと最初に遭遇した時に連中がそんな言葉を発していたから……だな。要するに、俺の中で不確定だったものが、連中が『共鳴』という言葉を使った事で、事実上証明されたようなもんだったから、あの現象は『共鳴』で間違いないんだろうと思ったわけだ」
そう答えながら、ラディウスはテーブルの上のガジェットを眺め、そして改めて思う。
――そう、『共鳴』だ。
もしかして、連中は何らかの『共鳴現象』を発生させる為に、このガジェットを使っているのだろうか……?
と。
この話で向こう側へ移動する想定だったのですが……思ったよりも向こう側へ行く前段階の会話が長くなってしまった為、一旦区切りました…… orz
次の話こそ、向こう側に移動出来ると思います!
さて、その次回の更新ですが……12月26日(日)を予定しています!




