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第25話 大封印と氷晶。向こう側とこちら側。

「――ま、なにはともあれ……だ。こいつがありゃあ、ルーナの事を並行世界間移動させられるように出来んな」

「そうですね。ルーナさんがこのガジェットを使用可能であるという前提条件がありますが……」

「そこに関しちゃ、大丈夫じゃねぇかと俺は思ってる。まあ……根拠のない単なるカンなんだがな」

 リゼリッタの言葉にそう答え、肩をすくめてみせるアルフォンス。


「うーん、それなら大丈夫な気がするのだわ。アルのカンは、なんだかんだでいつもその通りになるのだわ」

 そんな風に言うクレリテに対してリゼリッタは腕を組み、何故か若干忌々しげな表情をして、

「……たしかにその通りですね……」

 と、アルフォンスとクレリテを交互に見ながら呟くように返す。


「――問題はラディウス側とこちら側、どちらにリンクして貰うか、なんだが……」

「こちらとリンクすると、戦力的には非常に良いですが……ルーナさんから見て、見知っている人間が少なすぎますね」

 アルフォンスに対してリゼリッタがそう返事をした所で、

「たしかにその通りなのだわ。見知っている人間がいるという意味では、ラディの方が良いのだわ。それに……あっちはたしか聖木の館の保有する軍勢を迎撃中という事だったのだわ」

 と、クレリテ。

 

「聖木の館……ですか。『精神制御(アンウィル・)突撃兵(トゥルーパー)』を生み出す施設だという情報の通りであるのなら、あちらの皆様に制圧していただくのが、今後を考えると非常に有効ですね」

「でも、聖木の館はたしか……治療および支援の名目で、アルベリヒの息のかかっているIMP(インプ)ども――『帝国魔導機甲師団』の第3旅団が、丸々駐屯していたはずなのだわ。さすがにあの人数で、あそこを制圧するのは厳しい気がするのだわ」

 リゼリッタの発言にクレリテはそんな風に返し、首を横に振る。


「まあ、普通に考えたら不可能に近いが……ラディウスとルーナの作るガジェットは、一騎当千を遥かに超える戦力を生み出すと言っても過言ではないレベルだ。ふたりが同じ側にいれば、一個旅団の戦力を有する聖木の館であっても、制圧は十分に……いや、余裕で出来る気がすんだよなぁ」

 アルフォンスはそこまで言った所で一度言葉を切り、リゼリッタとクレリテを交互に見てから、

「実際、坑道で影兵を蹴散らしたのはラディウスのガジェットの力による所が大きいんだろ?」

 と、続けた。


「むむむ……。そう言われれると否定しづらいのだわ。たしかに、なんだか旅団ひとつどころか、一個師団でも制圧してしまいそうな気がしてきたのだわ……」

 そう呟くように口にするクレリテに対し、アルフォンスは腕を組みながら告げる。

「だろう? まあもっとも……仮に制圧したとしても、あの人数では事後処理やらなにやらに難があるかんな。もしラディウスたちに制圧を任せるのであれば、そこも含めた制圧の支援が出来るよう、一番近くにいるウチの部隊を援軍として送るつもりだがな」


「一番近くにいる部隊……だわ? というと……」

 現在の各部隊の配置を思い出そうとするクレリテに、

「ザイオンの部隊ですね。腹違いの妹で、向こう側の世界の住人であるルティカさんが、ラディウス殿に色々な面で助けられたとかで、一度礼を述べたいと言っていたので、張り切ってくれそうですね」

 と告げるリゼリッタ。


「ザイオンの妹って、向こう側の住人だったのだわ? それはなんというか……随分と、ややこしそうなものを感じるのだわ……。まあでも、ラディたちの支援にちょうど良さそうなのはたしかなのだわ」

「だろう? でまあ……どちらにせよ、ラディウスたちが向こう側で行っている『迎撃』が終わった後――次の一手となる『何か』が必要だかんな。ここでの話をラディウスたちにもしてみる事にするぜ」

「わかったのだわ。そっちは任せるのだわ。こっちも一段落したら戻るつもりではいるものの、今の感じだと、事後処理の関係で夜になりそうな感じなのだわ」

 クレリテはアルフォンスの話に対し頷いてみせると、そんな風に言ってやれやれと首を横に振った。


「そればっかりはしょうがねぇな。――リゼ、教皇代理として全権を委任する書類を渡しておくから、いい感じに話を纏めちまってくれ」

 そう言いながら懐から取り出した書類を、リゼリッタに手渡すアルフォンス。


「そこはご心配なく。採掘師の皆様が安心して作業が出来るよう、きっちり対応しておきますから」

 胸に手を当てて力強く告げてくるリゼリッタに、アルフォンスは満足気な表情で頷くと、

「――ああ、立て続けに出現する様な事はまずねぇが……一応、ウンゲウェダ・ドラウグには気をつけろよ?」

 と、ふたりを交互に見ながら付け加えるように言った。


「問題ないのだわ。既に一度倒しているのだわ。例えもう一度出て来たとしても、また倒すだけなのだわ」

「ま……それもそうか」

 アルフォンスはクレリテの言葉に対し、若干呆れ気味に肩をすくめながらそう返すと、ラディウスたちにここでの話をすべく、向こう側――ラディウスたちのいる大封印を思い浮かべた。

長くなった『大封印と氷晶』の節も、ようやくこの話で終わりです!

……まあ、終わりという感じの展開ではないですが……

次回からは、長らく進展していなかった向こう側――主に聖木の館の話です!


といった所でまた次回! 次も少し間が空きまして……12月20日(月)の更新予定です!

そして、おそらくその次からは、これまでの更新頻度に戻れると思います。

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