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第22話 大封印と氷晶。顕現する顎門。

「ま、まずいのだわっ!」

 次に起きる事態を悟ったクレリテは、それを阻止すべく、急停止させてしまった足を再び前に出す。

 そして、ルドガーのもとへと突っ込みながら魔法陣を破壊しようと、手に持った伸縮する剣を素早く、そして全力で伸ばした。

 

 ……しかし、自らの身体や剣が魔法陣に到達するよりも先に、魔法陣から以前見たそれと全く同じ『顎門』が、魔法陣を食い破るかのようにして顕現。

 

「ひぅっ!?」

 カチュアが短く悲鳴を上げる。


 それは、以前似たような代物によって喰い殺された経験があった事で、ソレが何をしようとしているのかを理解してしまったからであった。

 

 直後、顕現した『顎門』にクレリテの剣の切っ先が触れる。

 ……だが、それだけだった。

 パクリと開かれた口がルドガーを喰らい、そして飲み込んでしまう。

 

 そして……あとに残されたのは、ルドガーの身体からぶち撒けられた大量の血だけだった。

 血以外には、骨の破片ひとつ残されていない。


「むぅぅ……。間に合わなかったのだわ……」

 悔しそうに言葉を吐くクレリテに、

「あの魔法陣が、こういうものであると分かっていたのですか?」

 と、問いかけるリゼリッタ。

 

「――可能性が高いと思ったのだわ。というのも……レスティア村での一件の時に、あれと全く同じ物を見たのだわ。あの時もこんな風に首謀者であった仮面の術士が、自身を喰らわせたのだわ」

「ああ……今では『魔軍事変』と呼ばれている件ですね。首謀者であるビブリオ・マギアスの術士は、自身に対して奇怪な魔法を使い、その命を絶った……という報告書なら私も読みましたが……なるほど、あれがその魔法でしたか」

 クレリテの説明にそう答えながら、ルドガーのぶち撒けた大量の血を眺めるリゼリッタ。

 

 ――それにしても物凄い量の血ですね……というか、少し多すぎるような……

 全身の血が全てぶち撒けられたら、このくらいの量になるのでしょうか……?


 なんて事をリゼリッタが考えていると、カチュアが、

「あの魔法に似た物を、前に一度食らった事がありますですが、一瞬で死んだのであまり痛くはありませんでしたです。なので、自ら命を絶つには丁度よい魔法な気がしますです。まあ……見た目が気味悪すぎるので、直視したくはありませんですが」

 などと、どう返せばいいのか困る内容の話をサラッと口にする。

 

「そ、そうなのですか……?」

 リゼリッタは若干引き気味にそう言いつつ、クレリテへと顔を向ける。

「……と、とんでもない事をサラリと言いますね……」


「まあ、カチュアは過去に死にすぎなのだわ……」

「……なんとなく皆が守ろうとする理由が分かった気がします……」

 ため息交じりの返事をしてきたクレリテに、リゼリッタは額に手を当てながらそう返す。

 と、その直後、血溜まりの中でキラリと光る何かが視界に入った。

 

「――おや?」

「どうかしたのだわ?」

「いえ、何か……光る物が血溜まりの中に沈んでいる気がしまして……」

 リゼリッタはクレリテにそう返しながら、洗浄用の水の魔法を使い、血を押し流す。


「って、これは……」

「――向こう側の世界とこちら側の世界を行き来するガジェットなのだわ……」

 そう……ふたりが口にしたように、ふたりの視線の先……水の魔法で押し流された大量の血の中に沈んでいたのは、ここにいる全員が所持している並行世界を移動出来る懐中時計型のガジェットだった――

魔軍事変の時と同様の結末を迎えましたが……?

といった所でまた次回!

次の更新は……若干空きまして、12月8日(水)を予定しています……!

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