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第16話 大封印と氷晶。掃討と探知。

「それにしても、いきなり消そうとしてくるとか、堪え性のない連中ですね」

「だから、こっちも最初から問答無用で殲滅すれば良かったのだわ」

 呆れながら言うリゼリッタにそう返すクレリテ。

 

「お、おのれ……っ!」

 偽採掘師――影兵がどこからともなく取り出した短剣を構え、クレリテたちへと襲いかかる。

 そして、それに合わせるようにして、先の魔法による薙ぎ払いから逃れられた影兵たちも、隠形を解いて一斉に動き出した。

 

「そっちにも潜んでいる事は、既にお見通しですよ? です!」

 カチュアはそんな風に言いながら、右手をそちらへと突き出す。

 そして、

「そっちが槍ならこっちは剣でいきますですっ! ――赫灼(かくしゃく)たる七煌(しちこう)(つるぎ)、今ここに(あらわ)れ、目の前に()りし全てを討滅(とうめつ)せん! ――スカウリングブランド!」

 と、言い放った。

 

 直後、中空にそれぞれ異なった色の輝きを放つ七つの剣が出現したかと思うと、それらがまるで剣舞を演じるかの如く、流れるように動き回り、遅いくる影兵たちを迎撃していく。

 

「こ……こんな……馬鹿な……事――っ!?」

「ありえるのだわ。甘くみすぎなのだわ」

 最後に生き残っていた採掘師に扮した影兵の声を、伸縮する剣で喉ごと潰しながら、そう告げるクレリテ。

 

「……せめてソレは生かしておいてくださいませんかね? ルドガーの居場所を聞き出せなくなってしまったではないですか」

 やれやれと言わんばかりに首を横に振りながら言うリゼリッタ。

 それに対し、剣を鞘にしまいながら、

「必要ないのだわ。ルドガーの位置はマリス・ディテクターでバッチリなのだわ」

 と、告げてカチュアを見るクレリテ。

 

「そうですねです。ここでの状況が伝わったのか、こちらに対して明確な害意……というより、殺意を抱いた存在が一気に湧いてきた――反応しましたです」

「そして、その中にルドガーもいるのだわ」

 カチュアとクレリテのその説明に、

「……納得です。本当に、さすが『英雄』ラディウス様が作ったガジェットですね……」

 と、納得しつつも呆れ気味に返事をするリゼリッタ。

 

「その通りなのだわ! 反応に従って進めば、坑道内でも迷わないのだわ! 立ち塞がる奴らも魔法で蹴散らせばいいだけなのだわ!」

「ですです! さすがはラディウスさんの魔法ですです!」

「……そのラディウスさんの魔法なのですが、強すぎる物が多いので、狭い坑道内では使う魔法に気をつけるのです」

 意気込むクレリテとカチュアに対し、メルメメルアが口元に人差し指を当てながら、そんな忠告を口にする。

 

「むむ……っ。たしかに、うっかり崩落を引き起こしたりしたらシャレにならないのだわ。なるべく剣で仕留めるのだわ」

「では、王女殿下を先頭にして行くとしましょうか」

 しれっとそう告げるリゼリッタに、

「……凄く盾にされている気がするのだわ……」

 と言って訝しげな目を向けるクレリテ。

 

「気のせいです。適材適所というものです」

 これまたしれっと返すリゼリッタ。

 

「……まあ、いいのだわ。あまりここで立ち止まっていても仕方ないのだわ。早速突入するのだわ」

 クレリテは首を横に振った後、諦めたような口調でそう答え、坑道に続く入口へと目を向け直した――

というわけで、坑道内へと突入します。

……が、おそらく次はラディウス側になると思います。


とまあそんな所でまた次回! 次の更新は、11月18日(木)を予定しています!


ちなみにスカウリングブランドは、『一掃する剣』というような意味です。

『ブランド』は銘柄とか烙印を表す単語なのですが、古い文語表現では、『剣』を意味する単語として使われていたりもします。

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