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第10話 大封印と氷晶。屋台街での昼食。

「――すいません、私は教会の鍛剣聖省の副聖省長を務めるリゼリッタという者なのですが、坑道の方で何かあったのですか? みなさんが昼間からお酒を飲まれていたので気になりまして……」

 リゼリッタが教会のシンボルと星印重なり合ったようなデザインのバッジを見せながら、酒を飲む採掘師の集団に対し、そんな風に問いかける。

 

 すると、

「た、鍛剣聖省の副聖省長!?」

「い、言われてみると何度か見かけた事が……」

 なんていう驚きの声が方方から上がった。

 

 そしてその内のひとりが、

「だったら頼む! 採掘師の交代を撤回してくれ!」

 と、リゼリッタに縋り付くようにして懇願する。

 

「……採掘師の交代……ですか? すいません、いまいち良く状況が把握出来ないので、順を追って説明していただけますでしょうか?」

「あ、ああ、実は――」

 冷静に淡々と話すリゼリッタの様子に落ち着きを取り戻したのか、採掘師がリゼリッタに説明を始める。

 

 ……今日の朝、突然採掘師の集団がやってきて、自分たちが今日からここの採掘を任された事、そしてそれが、坑道の管理者であり街の長でもあるルドガーという人物によって承認されている事が採掘師の口から告げられた。

 

「――交代? そういった許可を出した記憶も記録もないのですが……」

 話を聞き終えたリゼリッタは、そんな風に呟きながら少し思案を巡らせた後、向こう側へと転移し、アルフォンスにその事を説明する。


「なるほど……。実に怪しい状況になってやがんな。わかった、一旦確認するから待ってろ」

 そう告げられたクレリテとリゼリッタは、

「まあ、お昼ご飯を食べながら待っているのだわ」

「では、私は適当にガジェットを使って調べるフリでもしておきましょう」

 と、そんな風に返すと、再び転移。


 リゼリッタは向こう側で告げた通り、ガジェットをストレージから取り出すと、それを操作するフリをしながら、採掘師の人たちへの言葉を紡ぐ。

「ちょっと調べるので待ってください」


 ガジェットを操作しているはずなのに魔力の動きを感じ取れない事に対し、メルメメルアが違和感を覚えていると、それを察したらしいクレリテが、

「ちなみに、リゼの動作はカムフラージュなのだわ。実際には一旦向こう側の世界に行って、アルに伝えて調べて貰っている所なのだわ。――というわけで、今のうちにお昼ご飯を買いに行くのが良さそうなのだわ」

 なんて事を小声で伝える。

 

「あ、なるほど、私たちもよく使う手ですね、です」

「得心がいったのです」

 カチュアとメルメメルアは納得の表情でそう返すと、立ち上がったクレリテに続く形で、近くの屋台から食べ物や飲み物を購入し、採掘師の者たちが用意してくれた席でそれを食べ始めた。

 

「リゼの分も買ってきたのだわ!」

「ありがとうございます。……って、なんですか? この奇妙な色をした麺の入ったサンドイッチは……」

「焼きそばパンなのだわ!」

「焼きそば……パン? ……えっと……焼きそば、というのは?」

「知らないのだわ! 初めて聞いたのだわ! でも美味しいのだわ!」

 そんな事を言いいながら、おいしそうに頬張るクレリテ。

 

「焼きそばというのは、古の時代に存在した麺料理なのです。製法が失われて久しかったですが、最近、遺跡で発見されたレシピをもとに、再現に成功したようなのです」

「再現度はバッチリ完璧で、おいしいですです。ただ……それをパンに挟むというのは初めてみましたですが」

 クレリテに代わって、メルメメルアとカチュアがそうリゼリッタに説明する。

 ちなみにふたりはというと、木の皿に盛られたやきそばパンではない普通の焼きそばを食べていた。

 

 ――古の時代の麺料理である事は理解出来ましたが……どうしてそれをパンに挟んだのでしょうか?

 いまいちよくわかりませんが、とりあえず匂いはとても美味しそうですね……

 

 リゼリッタはそんな事を考えながら、食欲をそそる匂いに抗えず、おっかなびっくりといった感じで、そーっとそれを口に入れる。


 そして……

「っ!?」

 驚愕の表情のまま固まった。

何故か古の時代に存在し、製法が失われていた焼きそばの登場です。

といった所でまた次回! 次の更新は、10月31日(日)を予定しています!

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