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第9話 大封印と氷晶。屋台街と採掘士。

「これが屋台街ですか……です。何を売っているのか一目瞭然な感じの、小さなお店がいっぱい並んでいますです」

「なんというか……カウンターと厨房が一体化したような、簡易的かつ独特な作りのお店ばかりなのです。帝都ではこういうのは見かけないので新鮮なのです」

 カチュアとメルメメルアが屋台街を見回しながらそんな感想を口にする。

 

「適当に食べたい物を買って、そこら中に設置されているテーブル――座席を適当に確保して食べるのがここのスタイルなのだわ」

 そう言いながら、テーブルを指さしするクレリテ。

 

「なるほどです。屋根がなくても雨風の心配のない洞窟内の街ならではというか、とても適したスタイルなのです」

「はいです。面白いですです。……でも、お昼時だからか人が多いですねです。空いている席を探すのが大変そうな感じですです」

 メルメメルアに続くようにして、カチュアがそんな風に言った通り、屋台街は非常に混雑しており、空いている席がほとんど見当たらない。


 それを眺めながら、何かを考える仕草をするリゼリッタに、

「……? リゼリッタさん、どうかしたですか?」

 と、問うメルメメルア。

 

「あ、いえ……なんだか普段より混雑しているような気がするというか……この街には仕事の都合で何度も訪れているのですが、さすがにここまで混雑していた記憶がなかったもので……」

「言われてみると、ちょっと人が多すぎる気がするのだわ」

 クレリテはリゼリッタの言葉に同意するようにそう言うと、周囲を見回す。

 

「んん? あそこで、いかにも坑道で働いていそうな雰囲気のある人たちが酒盛りしているのだわ。というか、良く見ると、聖剣教会のシンボルとツルハシを重ねたような物が服に刻まれているのだわ。たしかアレは――」

「――はい。間違いなく『採掘士』の方々ですね。ただ……酒盛りというよりは、なんというか……そう、ヤケ酒に近い雰囲気ですね」

 リゼリッタが酒を飲んでいる者たちに視線を向けたまま、クレリテの言葉を途中から引き継ぐ形で、そんな風に言う。

 

「あの……『採掘士』というのは何なのです? 一応、名前から鉱石を掘り出す人だというのは分かるですが……」

「あ、そうですね……向こう側の世界や他の国にはない仕組みですからね、説明いたしましょう」

 メルメメルアの疑問に、リゼリッタはもっともだと思い詳しい説明を始め……ようとした所で、

「リゼリッタの説明だと長くなりすぎるから代わりに私が説明するのだわ。――細かい所をすっ飛ばして簡単に言えば、この国にある鉱山や坑道では、教会、あるいはその代理人に認可された者しか採掘が許可されていないのだわ。そして、その許可を持つ者が『採掘士』と呼ばれているのだわ」

 と、クレリテが割り込むようにしてそんな説明した。

 

「………………」

 無言だが、何か言いたそうな表情をしているリゼリッタを眺めつつ、長い話を聞くのはは避けたいと思ったカチュアが、問いの言葉を投げかける。

「えっと……その『採掘士』の人たちが、一斉にお昼ごはんを食べに来たという事ではないのですか? です」

 

「――可能性はゼロではありませんが……坑道にも専用の食堂があるので、わざわざこちらに来る人はそんなにいないんですよね……普段は」

「うーん……普段とは何か違う事が起きていたりするのでしょうか……です」

「……たしかに、それはありえますね」

 リゼリッタはカチュアの言葉にそう返すと、とりあえず話を聞いてみようと思い、近くの採掘士の集団へと近づいた――

何かが起きていそうな雰囲気ですが……?


といった所でまた次回! 次の更新は10月28日(木)を予定しています!

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