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第8話 大封印と氷晶。ディグロム洞街と鑑定士。

予定より遅くなりました……

「ディグロム洞街についたのだわ!」

 クレリテが両手両足を広げ、巨人の仮宿と呼ばれるその空洞の広さを身体で表現するかのように、声を大にして言った。

 

「ほえぇ……すごく広くて明るいですね……です。うーん……天井までどのくらいあるのでしょうです」

 感嘆の声を漏らしながら頭上へと顔向け、そんな疑問を抱くカチュアに対し、メルメメルアは天井を見回しながら答える。

「おおよそなのですが、天井まで300フォーネくらいだと思うです。ちなみに明るいのは天井付近に複数設置されている強い光を発する常駐魔法――ガジェットの力のようなのです」

 

「凄いのだわ! 良く見ただけで分かるのだわ! メルの言う通り、天井まで一番高い所でだいたい300フォーネとちょっとなのだわ! さすがは、向こう側でなるのがとても……とてもとても難しいと言われている、鑑定士だけはあるのだわ!」

「ええ、まったくもってその通りですね。ガジェットの方もあっさりと見破っていましたし、帝都の冒険者ギルドにおいて、帝国一の天才鑑定士と呼ばれている所以が良く分かるというものです」

 大仰な仕草でメルメメルアを褒めるクレリテと、頷いて天才である事をさらりと告げるリゼリッタ。

 

 そこまで手放しで褒められるなどとは夢にも思ってもいなかったメルメメルアは、気恥ずかしさを覚え、顔を赤らめながら手を左右にブンブンと振りながら、

「い、いえ、その……帝国一の天才鑑定士というのは帝都を拠点とする冒険者さんが大袈裟に言いすぎているだけなのです……。そこまで凄くはないのです……」

 なんて言葉を返した。

 そしてそのまま話題を変えるべく問いの言葉を投げかける。

「と、ところで、どこへ行けば良いのです?」

 

「まっすぐ坑道へ……と言いたい所だけど、昼食を先に済ませるのだわ! 魔物と戦闘したせいか、お腹が空いたのだわ!」

 言いながらリゼリッタの方を見るクレリテ。

 それに対しリゼリッタは、しばし考えてから、

「まあ……ウンゲウェダ・ドラウグが出現したせいで、少々到着が遅くなってしまいましたし、坑道に行ってからだと遅くなってしまいますから、昼食を先に摂るとしましょうか」

 と、答える。

 

「だわだわ! 早速、屋台街へ向かうのだわ!」

 首を縦に振りながらそう言うと、カチュアとメルメメルアの手を取り……

「ほへ?」

「え?」

 訳が分からずそんな声を上げるふたりを引っ張るクレリテ。


 そしてカチュアとメルメメルアは、以前のセシリアのように、

「「あわわわわわわわわわわっ!」」

 と、悲鳴を上げ続けながら、強制的に走らされていった――

 

 ――と思いきや、

「うぐぇっ!?」

 すぐにクレリテが首根っこをリゼリッタに掴まれ急停止した。


「な、なにするのだわッ!?」

 憤慨するクレリテに対し、リゼリッタが笑みを浮かべながら口を開く。

「走らなくても、屋台街は逃げませんから……。それと、引っ張って走ったりしたら、おふたりにもまわりにも迷惑です。――落ち着いて、ゆっくり案内してくださいね。王・女・殿・下?」


「ひぃ!? わ、わかったのだわ……ゆっくり案内するのだわ……」

 笑みを浮かべているのにも関わらず、薄ら寒いものを感じる――否、闇の深淵を覗いてしまったかの如き恐怖を奥底から感じるリゼリッタのその顔に、クレリテは慌ててふたりの手を離し、小さくなった。

 

 そこから続くリゼリッタの小言を聞きながらメルメメルアは、アルフォンスがリゼリッタを同行させたのは、クレリテの突発的な暴走を止める為という意味合いもあるのではないか……と、そんな風に思った。

多分、次回もメルメメルア側の話になると思います。

(ラディウス側は解析がメインなので、あまり大きな動きはないですし……)


といった所でまた次回! 更新は……10月25日(月)を予定しています。

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