表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

258/636

第2話 大封印と氷晶。ウンゲウェダ・ドラウグ。

予定より大幅に遅くなりました……

「なんだか少し寒くなってきましたね……です」

「霧のせいで見えない状態ですが、既にディンギア氷峰の近くまで来ていますからね。気温も出発した時からすると、かなり下がってきています」

 カチュアに対し、船の進む先を見据えつつそう答えるリゼリッタ。

 

「――そう言えば……今更だけど、カチュアは付いて来てしまって良かったのだわ? オードさんは何も言わなかったのだわ?」

 クレリテがそんな事をカチュアに問う。

 

「あ、はいです。危険だと心配されましたですが、メルお姉ちゃんと久しぶりに再会出来たので、同行したいと言いましたです。そして、メルお姉ちゃんも……同行してくれるクレリテさんも強いから問題ないとも伝えましたです」

「……な、なるほどなのだわ。朝、妙にオードさんによろしくお願いされた理由が理解出来たのだわ……」

「同じくなのです……」

 カチュアの言葉に色々と納得したらしいクレリテとメルメメルアが呟くようにそう返す。

 

「ご心配にはおよびません。何があろうと、クレリティリカ王女殿下様が身を挺してお守りしてくれるはずです」

 自信満々に言うリゼリッタに対し、

「……それ、『王女殿下』って付けていうセリフじゃない気がするのだわっ。明らかに貶されているのだわっ!」

 なんて事をジトッとした目を向けながら返すクレリテ。

 

「そんな事ありません。褒めているのですよ、ウンゲウェダ・ドラウグ以上のしぶとさを持つ王女殿下様の事を」

「全然褒められている気がしないのだわっ! そもそも、リゼが私を王女殿下様なんて呼ぶ時は、ロクでもない話の時ばかりなのだわっ!」

 リゼリッタに対し憤慨するクレリテを眺めつつ、首を傾げるメルメメルア。

 

「ウンゲウェダ……ドラウグ……です? そのような魔物聞いた事がないのです」

「あ、向こう側には存在しない魔物ですね。かつて氷峰に住んでいた巨人がアンデッド化したものだとか、霧の中に映し出される人や魔物の影が、悪霊によって実体化したものだとか、そんな風に言われていますが……実際の所はよくわかりませんね」

 メルメメルアの疑問に、リゼリッタがクレリテとの会話を中断し、そう説明する。

 

「ひとつ言えるのは、こういった悪天候の時にのみ出現するバカでかい魔物だという事だわ」

「あ、なるほどなのです。だから古の時代に使われていた言語のひとつで、『悪天候の巨人』などという名称が付いているですね」

「凄く発音しづらい名称だと思っていたけど、そういう意味だったのだわ? 初めて知ったのだわ」

「まあ、古の時代でもあまり一般的ではない言語なのです。それよりも……こういった悪天候の時にのみ出現するという話は本当なのです?」

「本当なのだわ。底冷えのするような咆哮と共に現れるのだわ」

 そうクレリテが告げた直後、

「ルオオォォォォオオォォォォォォオオォォオオォォォッ」

 という、咆哮が響き渡る。


「そうそう、まさにこんな感じなのだわ。……って――」

「――どうやら、現れてしまったようですね……」

 クレリテに対しそう返しながら頭上へと顔を向けるリゼリッタ。

 

 その視線の先には、上半身が人の骨、下半身が鳥の骨を思わせる、そんな黒い骨格に紫色の靄のような物を纏った巨大な魔物が、いつの間にかその姿を顕していた……

更新が、かなり遅くなってしまいまして申し訳ありません……

次の更新は、10月4日月曜日の予定です。


ちなみに余談ですが、『ウンゲウェダ・ドラウグ』は古英語ですが、『ドラウグ』という単語自体は、北欧でも妖魔やアンデッドの一種として使われていたりします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ