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第7話 メルティーナ法国。ビブリオ・マギアスと聖剣。

「ビブリオ・マギアスに、空間転移――空間の歪みによる『波』を感知、追跡する事が出来るような物が存在する……でありますか?」

 アルフォンスの横に座るクレリテがそんな風に問う。

 

「あるかないかで言ったら、『ある』はずだ。ほぼ確実にな。――奴らの中には、そういう知識と技術を有する奴が存在するからな。つーか……それはクレリテ、お前も良く知っているだろう?」

「……まあ、たしかにその通り……でありますね」

 肩をすくめてみせるアルフォンスに対し、何かを思い出すような仕草をしながら答えるクレリテ。

 

「とはいえ……だ。仮に波を辿られてバレたとしても、この国ならいかにビブリオ・マギアスとて、手を出すのは容易じゃねぇ。しばらくは大丈夫だろう。……もっとも、楽観視は出来ねぇけどな。奴らは狡猾に、そして静かに忍び寄ってきやがるし」

「以前、教会の人間に成り代わって侵入しようとした輩もいましたね」

 アルフォンスの言葉に続くようにして、そんな事を言うアルディアス。


「ああ。お陰で貴重な聖女をひとり失っちまったからな……」

 額を抑えてため息交じりにそう口にしたアルフォンスに、セシリアが「え?」という声を上げた。

 

「連中、聖剣のセキュリティ機構を壊して誰でも扱えるようにした上で、所有者の聖女を殺害し、成り代わった事件が前にあったんだわ。それ以来、聖女の護りは厚めにしているんだが……セシリア、お前の一件では上手く動けなかった。すまん」

 なんて事を言うアルフォンス。

 そして、ラディウスの方を向き、

「そういう意味でも、英雄には感謝してるぜ」

 なんて事を言った。

 

「……あれは、俺の数少ない幼馴染みが、目の前で奪われるというのが、我慢ならなかっただけです。別に聖女だから助けたというわけではありませんよ」

 そうラディウスが言うと、何やら顔を赤らめるセシリア。

 しかし、ラディウス自身は何が恥ずかしいんだ? 程度にしか思っていなかった。

 

「……ところで猊下、聖剣のセキュリティ機構と仰られましたが……その感じだと、アレが単なる『古代のセキュリティシステム』である事を理解しておられるようですね?」

 ルーナが若干不機嫌そうにセシリアを見た後、ラディウスの話がそれ以上続かないようにするかの如く、横からスルリとそんな事を問いかける。

 

「ああそうだな。『俺は』理解している。先代や先々代なんかは、単純に聖剣に意思のようなものがあって、それに選ばれている……と思っていたようだし、まあそれが教会としても普通だ。単に俺が異端なだけだと言っても過言ではない」

 なんて事を言うアルフォンス。

 

 そのあまりにもあまりな物言いは、呆れすぎたクレリテが、

「今は仮にも一番上に立つ立場であるアルが、自分で自分を異端とか言うのはどうかと思うのだわ。……じゃなくて、であります」

 と、ため息交じりに、うっかり素を出してしまうほどであった……

相変わらずぶっとんだ人物です(何)

とまあ、そんな所でまた次回! 次の更新は明後日、木曜日の予定です!

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