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第5話 メルティーナ法国。アルフォンスとクレリテ。

「ああ、立ち上がらなくていいぜ。つーか、むしろ呼んだのはこっちだかんな。礼儀だからっつー理由なんぞで、客人に立たせるのは俺の性に合わねぇし、むしろすまねぇ気分になっちまうんでな、そのままで頼むわ」

 椅子から立ち上がろうとした面々を制するようにそう言うと、スタスタと円卓の空いている席――ラディウスの真反対側の席まで歩いていき、そこにドカッと腰を下ろす教皇。

 

「お初お目にかかる……って言うべきか? いや、それこそ無粋ってもんか。――俺が現神剣教会教皇……アルフォンス・メルティアーナ=トリア・ディルツ・ヴァンダルムだ。長いから、名前で呼ぶなら『アル』でいいぞ」

 そう言いながら、ラディウスへと視線を向けるアルフォンス。

 

 ――これは、俺から名乗ればいい感じか?

 アルフォンスの視線をそんな風に解釈し、自身の名を告げるラディウス。

 それに続く形で、ルーナたちが順番に自己紹介をしていく。

 

 そして全員の自己紹介が終えると、しばし他愛のない雑談をする面々。

 その雑談が一区切り付いた所で、

「しっかし……英雄ラディウスに、その英雄の弟子とも言える最高クラスの魔工士ルーナと剣の聖女セシリア、カレンフォート市のギルドマスターに、事実上のサブマスターであるエレナ殿とレインズ殿、更にビブリオ・マギアスにマークされてしまっているカチュアとその育ての親であるオード殿……そして、あのシェラ殿の所に住まうカルティナ……か。随分とまあ、濃いメンツだな。まさか、ここまでのメンツが揃ってやってくるたぁ、想定外だったぜ」

 なんて事を言って、肩をすくめながら左右――マクベインとクレリテに交互に顔を向けるアルフォンス。

 

「たしかに仰る通り、であります」

 普段とは違う口調でそう答えるクレリテ。

 そして、その場の全員を見回してから、続きの言葉を紡ぐ。

「もっとも、ビブリオ・マギアスの件がなければ、ここまでの編成にはならなかった、でありますが」


「その口調どうにかならんのかねぇ……普段の『のだわ!』でいいじゃねぇか」

「うぐっ! そ、それはその……」

 肩をすくめられたクレリテが言葉に詰まってゴニョゴニョしだす。


 ――うーん……小声すぎて何を言っているのか良くわからないけど、なかなか妙な関係性みたいだねぇ……

 というか、クレリテの過去って良く知らないんだよね。ちょっと興味が湧いてきたかも。

 

 なんて事をセシリアが思っていると、

「まあいい」

 とため息混じりにアルフォンスが言い、カチュアとオードを見て、

「未来から過去に逆行し、魔軍影将がカチュアを付け狙っている……か。まあ、そこに関しては、このメルティーナ法国内にいる間は、問題ないだろう。つーか、危険だから連中の件が片付くまで、むしろこの天剣宮内にいた方がいいんじゃねぇか? 部屋なら余ってっから、カチュアやオード殿が使ってくれても一向に構わねぇぜ。ああ、そっちのエレナ殿とレインズ殿もな」

 と、アルフォンスがとんでもない事をサラッと言う。


「い、いえ、それはその……恐れ多すぎるといいますかなんといいますか……」

「え、ええ。さすがにそれは……ちょっと……」

 と、恐縮しきりのオードとエレナ。

 なおエレナは、恐縮よりも浮遊している所で寝泊まりしたくないという思いの方が、実のところ強かったりする。

 

「別に遠慮する事ねぇんだが、でもまあ……そうだなぁ……ここだと逆に、何かが起きた時に『逃げづらい』か……。――ディアス、中央聖塔の客人用の部屋の手配を頼む。ここにいる人数分だ」

「承知いたしました。マクベイン様とクレリテ殿は私室をお持ちですので、それ以外――8人分ご用意いたします」

 ディアスと呼ばれたアルディアスがそんな風に答える。

 

 しかし、アルフォンスはそれに対し、掌を横にした状態で左右に軽く振り、

「違う違う、俺の部屋も入れて9人分だ」

 なんて事を告げた。

クレリテが『どういう人物なのか』に関しては、実のところ今までほとんど触れていないんですよね。

というわけで(?)、ようやくこの章で少しずつ触れていきますよ!


さて、そんなこんなでまた次回! 次の更新は明後日、日曜日の予定です!

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