表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
234/636

第2話 ビブリオ・マギアス。騙されるふたり。

「腕輪、反応は?」

「クカカッ、バッチリだぜぇ。奴ら、どーやら水の流れに沿って、西の方へ向かってやがるみてーだなぁ」

 エリーシアに問われたジェイクスが、指で地下水路を流れる水の先を示してみせる。

 

「泳いで――否、それはない。水路上を……浮遊魔法で移動?」

「だろーな。なにせ、あっちにゃ『あの男』がいるんだぜぇ? 今はまだ若いつっても、大陸全土たった一国が制する程の力を生み出したよーな、バケモンだかんなぁ」

 エリーシアの疑問にそう返し、肩をすくめるジェイクス。

 

「得心。その程度の魔法、作り出す可能性大」

「そういうこったぜ。だが、さすがにこっちはンな芸当出来ねぇかんなぁ。舟の回収に向かわせた部下がこっちに向かってっから、そいつで追いかけんぜぇ」


 そうジェイクスが告げた通り、程なくして部下の操る舟がふたりのもとへとやってくる。

 それに乗り込み動き出したところで、

「クキャキャ、この舟の速度なら割とすぐに追いつけそうだぜぇ!」

 舟の速度と腕輪の反応から上機嫌気味に言うジェイクス。


「姿を捉え次第仕掛ける。ただし――」

「カチュアは殺すな。可能ならセシリアも捕らえろ。だろぉ? わーってるぜぇ」

「他は鏖殺許可。然れどもあの男、撃破困難。魔法の威力、絶大」

「……だろーなぁ。俺としちゃあ甚だ不本意だけどよぉ、ふたりを掻っ攫う方が楽ってもんだぜぇ。セシリアはちーとばかし厄介だけどなぁ」

 ジェイクスが苦虫を噛み潰したような表情で、そんな風に答える。


「搦め手には搦め手、真っ向には真っ向。搦め手のジェイクスには不向き」

「クヒャヒャ、そいつぁつまり、あれかぁ? エリーシアがセシリアと殴り合うってかぁ?」

「半分正解。激突しつつ妖魔で奪う」

「ヒャヒャ、そいつはたしかに真っ向……いやまてまて、おま、そいつぁ真っ向とは言わなくねぇかぁ? 搦め手って言うんじゃねぇのかぁ?」

 下卑た笑みを浮かべていたジェイクスが、急に真面目な表情になって突っ込みを入れる。


「……気のせい。急に真面目に突っ込むのは、不許可」

「突っ込まずには、いられねぇぇぇっ!」

 などという会話をしている内に、舟は腕輪の反応のすぐ近くまで来ていた。

 しかし、ラディウスたちの姿は一向に見えない。

 

「不自然。姿なし。気配なし」

「んあぁ? なにかで遮断してやがんのかぁ? 腕輪はたしかにこの辺りを移動してやがんだがなぁ……?」

「……水中、あるいは透明化」

「ちぃっ、その可能性は大いにありやがんなぁ。あの男なら気配すら遮断する魔法を生み出しやがってても不思議じゃねぇしよぉ……」

 エリーシアの推測に対して忌々しげに舌打ちしつつ、同意の言葉を口にするジェイクス。


「水中、妖魔で探る」

 エリーシアがそう告げた直後、エリーシアの目の前に魔法陣が出現。

 そこからサメの頭に、エラのついたザリガニの胴体がくっついたような姿の、奇妙な二足歩行の魔物――妖魔が複数体姿を表す。

 

「水の妖魔よ、行け。不審な存在を探せ」

 そうエリーシアに命じられた妖魔たちは一斉に水中へとダイブ。

 水中の捜索を開始する。


 そこにラディウスたちが存在していない事など、露ほども知らずに……

今回は、なんともギャグっぽい雰囲気のふたりでした。

まあ、敵にもこういう面はあるという事で……


といった所で、また次回! 更新は明後日、日曜日の予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ