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第1話 ビブリオ・マギアス。ジェイクスとエリーシア。

この節はビブリオ・マギアス側――つまり敵側の視点です。

 ラディウスたちの行動開始から程なくして、冒険者ギルドにジェイクスが姿を見せる。

 

「――ん? ギルドマスターの姿が見えないな。珍しい事もあるもんだ」

 ジェイクスは、さも何も知らないと言わんばかりに受付嬢に問いかける。

 

「ギルドマスターでしたら、緊急の会合とやらで出かけていますよ」

「あ、そうなのか。ふーん、何があったんだろうな」

「さあ……? かなり急いでいたので、本当に緊急なんだとは思いますが、詳しくは……」

 

 そう受付嬢に言われたジェイクスは、カチュアたちと共に逃げ出したのであろう事を確信する。

 

 ――んあ? 腕輪の動きからすっと、例の地下水路を通って外へ逃げるっつー感じかぁ?

 ま、たしかに、地上は俺たちが見張ってっからよぉ。

 見つからねぇように逃げんだったら、入り組んでて誰も全容を把握出来てねぇあそこを使うのは、至極当然っちゃ当然ではある話だぜぇ。

 でも……残念だったなぁぁ。

 俺たちゃ、ほぼ把握してんだよなぁぁ、これがよぉっ! クキャキャキャキャキャ!

 

 内心でそんなどす黒い笑いを上げている事など微塵も感じさせない言動で、静かに冒険者ギルドを後にするジェイクス。

 

「――ジェイクス」

「んあ?」

 名を呼ばれたジェイクスが顔をそちらに向けると、そこにはエリーシアが立っていた。

 ただし、その姿はどこからどう見ても、ただの町娘にしか見えないが。

 

「エリーじゃねぇか、どうかしたのかぁ?」

「ジェイクスの支援。カチュアの捕縛」

 ジェイクスの問いに淡々と抑揚のない口調で答えるエリーシア。


「クハハッ、そういう事か。手伝ってくれんのはありがてぇけどよぉ、あっちは手練が多くてなぁ。戦力としては1人増えたくらいじゃ、ちと厳しいぜぇ」

「――妖魔、多数用意した」

「くはっ、マジかよ。たしかに妖魔を投入出来れば、どうにかなるかもしれねぇなぁ。だが、こんな所で投入しちまっていいのかぁ?」

 驚きの声を上げ、ジェイクスはそんな風に問う。

 

「問題ない。カチュア捕獲、重要。聖女も危険」

「聖女セシリア……か。たしかにあの聖剣は、武器としてだけじゃねぇっつーか、想像以上に厄介な代物くせぇなぁ」

 腰に手を当て、やれやれだと言わんばかりに首を横に振るジェイクス。

 

「然り。そも、聖女の存在、イレギュラー」

「だなぁ。だがよぉ、イレギュラーっつーんだったら、今は英雄と呼ばれている『あの男』もそうだぜぇ」

「カチュア、『あの男』と王都で接触。歴史、改変済みの可能性、あり」

「チィッ、んな所から歴史を動かしてやがったんかよ……。どおりで大きく変わっていやがるはずだぜぇ……ったくよぉ。……やっぱカチュアは厄介な存在だぜぇ。見た目に騙されっとやべぇって奴だなぁ」

 などと、カチュア本人が聞いたら全否定するであろう勘違いをし、勝手に危険度を上げていくふたり。


「同感。確実な捕獲、重要。閣下、方向性の変更を予定」

「方向性の変更? 確実な捕獲……だぁ? どうするつもりなんだぁ?」

「――『漆黒の闇影』に、永久幽閉」

「はぁん……なるほどなぁ、そういう手で来やがったかぁ。クキャキャ、捕獲ってのも納得だぜぇ。しかし、また難しい事をやろうとしてんなぁ。閣下もよぉ」

「閣下、カチュアを危険視。手間の必要、ありと判断。セシリアも危険度上昇。状況次第で、同対処の想定」

「ま、聖女――つーか聖剣がカチュアと時を超える力を持っている可能性を考えるとそうなるよなぁ。やれやれ、俺は良く連中とやりあって撤退出来たもんだぜぇ、ったくよぉ」

 

 ……否、ふたりだけではなくオルディマもカチュアに対する危険度を上げていた。

 更にセシリアに対する危険度までもが上がっていた。

 

 無論、どちらも本人が聞いたら逆に驚くであろう……

本作初の敵視点の節で、敵側しか知らない話がチラホラ出てきます。

時間軸的には前節の直後からになり、全3話くらいの想定です。


といった所でまた次回! 次の更新は明後日、金曜日の予定です!

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