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第15話 呪物と常駐魔法。レインズとエレナ。

「まさか、そんな代物だったとはな……。気付かない内に奴らに居場所を伝えて、更に奴らにとって有利な方向に誘導していたのか……」

 ラディウスたちに説明を受けたレインズが、悔しそうに言って盛大に嘆息した。

 それに対し、カルティナが腕を組みながら首を横に振り、レインズを気遣うように告げる。

「……いや、こればかりは仕方ないとしかいいようがあるまい。悪いのは奴ら――ジェイクスやビブリオ・マギアスだ」


「そうですよ。それに……それを言うのなら、ギルドマスターとして、ジェイクスさんの――いえ、ジェイクスの偽装を見破れなかった私にも問題はあります」

「ま、要するに気にする必要はないという事なのだわ」

 エレナの言葉に続くようにして、クレリテもまた、そんな風に気楽な口調で言う。


「ああ、その通りだ。それより……偽りの情報を送ってあるから、すぐに外したのがバレる事はないと思うが、時間が立つとさすがにバレるはずだ。速やかに行動を開始するとしよう」

「上手く行く事を願っていますね」

 ラディウスの言葉にそんな風に返すエレナだったが、ラディウスたちに「何を言っているんだ?」という目で見られてしまう。

 

「エレナも一緒に逃げるに決まっているでしょ……。奴らに過去に戻ってきている事は当然バレているはずだし」

 呆れた声で言葉を紡ぐセシリアに、エレナは困惑の表情を浮かべる。

「え? いえ……でも、私はギルドマスターですし……。そう簡単にどうこうされる事はないと思いますが……」


「――いやいや、簡単にギルドに侵入出来る連中だよ? 既に過去に戻った事は奴らにバレてる以上、真っ先に捕えられて、私たちについての情報を吐かされるに決まってるじゃない。……手酷い拷問を受けるかもよ?」

「心臓を掴まれるよりも、凶悪で痛い事をされると思いますです」

「ふむ……。そういえば、じわじわと傷を与えていく魔法と自然に傷が治っていく魔法を同時にかけて、延々と痛めつける拷問があるという話を、前にビブリオ・マギアスに捕まってなんとか逃げ出した知り合いの友人の古馴染みの冒険者から聞いた事がある」

 セシリア、カチュア、そしてカルティナが、まさにここぞとばかりに脅しの言葉を告げた。

 

 ――カルティナの話……あれ、嘘ね。そのふたつの魔法を重ねたら、相殺されて痛み自体が発生しないはずだし。

 ……そもそも、知り合いの友人の古馴染みの冒険者って何よ……

 まあ……カルティナにとっては、ここで残られたら非常に困った事になるし、でっち上げでもなんでもいいから何としてでも連れ出したいんでしょうけど。

 

 などと心の中で、カルティナの言動に呆れつつも納得するルーナ。

 しかし、当のエレナの方はというと、その部分に特に違和感を持つ事はなかったらしく、効果てきめんといった感じで、「ひいっ!?」という声を上げた。

 さすがのエレナも恐怖で顔が青い。

 

 ……だが、それでもギルドマスターという立場ゆえか、踏ん切りがつかないようだ。

 

「――ギルドマスターである以前に、エレナ、君は俺の恋人だ。もっとも愛する人だ。だから……俺と一緒に来てくれ。君がここに残ってその結果、君を失う事になったら俺は深く後悔する。きっと死ぬまで後悔する。だから……今は、今だけは、ギルドマスターという立場を捨ててくれ。頼む」

「……え。あ……う……。その……えっと……そ、その……。……レ、レインズさんを死ぬまで後悔させるのは……わ、私の……本意では、望みでは……ありませんし……そ、それに……わ、私も……その……レインズさんと、えっと……離れ離れになるのは嫌……です。だから……その……ギルドマスターではなく……レインズさんの、こ、恋人として、共に……共に行きます……! どこへでも……どこまでもっ!」


 レインズの言葉に酷く動揺したエレナだったが、しどろもどろになりながらも自らの考えと想いを伝え、そして、逃げる事を決意したのだった――

若干長くなりましたが、本節のラストまで一気に行ってしまいました。

次の話からは、節が変わります!(今節は長すぎました……)


さて、そんなわけで次の更新ですが……明後日、水曜日の予定となっています!


そして、本日も折角なのでオマケの話を……


DoT((Damage of Time)※スリップ、継続ダメージ等ともいう)と、

HoT((Heal of Time)※自動回復、継続回復等ともいう)の2つの相反する魔法を、

同時に付与した場合、痛みってどうなるんでしょうね……? というお話です。


回復魔法側に鎮痛効果があるなら、痛みはないでしょうが、

単に傷ついた部分が復元、再生するだけだと痛みはあるんじゃないかと思います。


この世界の回復魔法は、強力な止血と鎮痛の効果も併せ持っているので、

同時に付与された場合は、痛みが瞬時に鎮痛効果で打ち消されて痛みはありません。

なので、負傷による瀕死なら自動回復魔法を付与すると痛みがなくなる為、割と動けます。

要するに、HPが1でも全力で動けるのに近い現象が起きるわけですね。

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