表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

229/636

第12話 呪物と常駐魔法。渡された腕輪。

 カチュアが周囲を見回すと、そこはカレンフォート市にある冒険者ギルドのギルドマスターの部屋だった。


 ――こちらへ戻って来たという事は、完成したということでしょうか……です。


 カチュアはそう思いつつラディウスの方を見上げると、ラディウスは何事もなかったかのように、

「広域のグラビティコントロールは、こっちのガジェットだな。これで発動可能だ」

 と、そんな風に告げてガジェットを皆に見せる。

 

「うわぁ……なんだかややこしい術式ねぇ……。一応理解は出来るけど、作ろうとしたら数日かかりそうだわ」

 ラディウスが見せてきたガジェットを眺めつつ、そんな風に言うルーナ。

 そして、それに続くようにして、

「そもそも……グラビティコントロール自体が割とレアな代物ですからね。遺物として見つかるガジェットでこれが組み込まれている物は、まずお目にかかれません」

「その通りなのだわ。実際、私の持っているグラビティコントロールのガジェットもレア物なのだわ」

 と、オードとクレリテがそんな風に言う。


 ――うーん……ルーナですら、数日かかるものをあの短時間で完成させるとか、さすがはラディだよねぇ……

 あまりにも早すぎて、ちょっとばかし消化不良というか、暴れ足りないけど……まあ、続きはこっち側での問題とやるべき事が一通り片付いてからだね。

 

 セシリアはそんな事を思いながら、

「あとは一気に動くだけかな? クレリテ、マクベインさんはどこに待機しているの? 途中で下りちゃったから良くわからないんだよね」

 と、クレリテの方を見て問う。

 

「城壁の外――レグナリア川の川岸なのだわ。カレンフォート市から離脱したらすぐに離脱出来るのだわ」

「レグナリア川か。ちょうど飛び降りる想定の場所から近いな」

 クレリテの返事を聞き、ラディウスがそんな風に言う。


「ちなみに……市外へ続く道は、ビブリオ・マギアスに完全に抑えられているようです。ギルドの者から連絡がありました。普通に市外へ出ようとしたら、一気に襲われるでしょうね」

「……やっぱりか。強引に突破する事自体は出来るだろうが、何も知らない市民を巻き込む事になるな。かと言って市民を秘密裏に移動させるのは難しい」

「はい。……諸々、総合的に考えると、やはりラディウスさんの考えている方法が、最も妥当な脱出手段であると思います」

「ああ、そうなるな」

 エレナとレインズがそんな風に話す。

 

「もっとも、城壁への移動を見つかってしまった場合は、やはり面倒な事になる。慎重さが必要になるね、これは」

「そうだな。……特に奴らに動きがバレたり、奴らの居る場所へ誘導されるのだけは避けないとまずい」

 カルティナに対してラディウスがそう答えると同時に、カチュアがレインズに問う。

「あ、レインズさんひとつ聞きたい事がありますです」

「ん? 聞きたい事?」

「はいです。レインズさん、最近ラディウスさん以外の誰かから、ガジェットを受け取った事とかって、あったりしますですか?」


「誰かから受け取ったガジェット……? ああ、あの野郎――ジェイクスから防御障壁の常駐魔法が付与された腕輪を貰ったな。遺跡で見つけた余り物だとかなんだとか言っていたが……」

 レインズはそう言いながら腕まくりをし、腕輪を見せる。

 

 そのやり取りを見ていたラディウスとルーナが顔を見合わせて頷き、ルーナが呟く。

「……間違いなさそうね。――ヘイジーミスト……極小範囲」


 次の瞬間、椅子に座るレインズの身体が唐突に弛緩したかと思うと、その目もボーッとした焦点の定まっていない、そんな目になった。

ようやく本節の『呪物と常駐魔法』の入口に辿り着きました……

と言っても、解呪回りの話はそんなに長くならない予定です……多分。


ま、まあ……そんなこんなでまた次回! 更新は明後日、木曜日の予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ