第6話 呪物と常駐魔法。死に戻りのカチュア。
「ラディウスさんの仰る『カレンフォート市の詳細な全図』は、これですが……」
ギルドマスターの部屋へとやってきた――というより、ギルドに入るなり通されたラディウスたちは、エレナの広げた地図へと視線を向ける。
「へぇ……。城壁の高さとかもきっちり書かれているわね」
「うむ。これを戦争の時に敵国が手に入れたりしたら脆い部分を狙われるな」
「そりゃまあ、『詳細な全図』だからそうなるな」
ルーナとカルティナが口にした感想に対し、レインズがそう返す。
その会話に、ラディウスは心の中で同意しつつ、これなら情報として十分だと思う。
「はい。本当は秘匿情報なので見せられないのですが、今回はそんな事を言っていられる状況でもないですからね」
「ああ。もう一度死ぬのはごめんだぜ」
「ですねぇ……。私、思いっきりお腹に手を突っ込まれて、心臓を直接グチャグチャと握られた後、引きちぎられました……。あの苦痛はもう味わいたくないです……」
肩をすくめるレインズと、頬に手を当て、ため息交じりの同意するエレナ。
「うへぇ……絶対、経験したくないなぁ……それ」
顔をしかめながらセシリアがそう呟くように言うと、横に座っていたカチュアが、
「あ、それ私も3回くらい経験した事がありますですよ。でも、地面に転がされて、バリバリと食べられるよりは、痛くも苦しくもなかったですよです」
などというとんでもない事を、あっけらかんと言い放った。
そのカチュアの言葉が、あまりにも衝撃的すぎて、全員が絶句してカチュアを見た。
あまりに死にすぎて、慣れすぎているせいなのか、本人に取っては大した事でもなかったようで、周囲のその様子に意味がわからず、
「あ、あの? 私、何かやっちゃいましたでしょうかです」
などと恐縮した様子で口を開くカチュア。
「……あ、安心してください! カチュアちゃんが二度と死なないように、全力で支援します!」
固まっていたエレナが、ガッという音が聞こえそうな勢いで、カチュアの両手を握りそんな事を言う。その瞳は、とても力強い物が宿っていた。
「え? あ、はいです。ギルドマスターさんに支援していただけるなら、とても心強いですです」
カチュアは、何故そこまで力強い瞳を向けてくるのか良くわからない……といった感じの、困惑した表情をしつつ、エレナを見てそう答える。
――まあ、カチュアをこれ以上、死に慣れすぎないようにしないとな……
ラディウスはそんな風に心の中で思いつつ、地図を見る。
そして、主に城壁付近を中心に確認し、
「よし、これなら上手くいけそうだ」
と、そう声を大にして言った。
若干描写が(ついでに話のタイトルも)アレな事になりましたが、カチュアがひとりだけ死にゲー状態だったのでまあ……そこを全員が認識する為には……と考えたら、こんな感じになりました……
といった所でまた次回! 更新は明後日、土曜日の予定です!




