第4話 呪物と常駐魔法。猛攻。
セシリアへ向けて投擲された10本の短剣は、跳躍したセシリアの真下をくぐるように飛翔する魔法弾によって全て消し飛ばされた。
「セシリアが飛びかかるって事くらい、想定してるに決まってんだろ」
なんて事を言ったかと思うと、何故か手に持った銃でセシリアの聖剣を狙い撃つラディウス。
そして、すぐに魔法弾が聖剣に命中。
しかし、聖剣は何ともないどころか、むしろその刃に紫色の電撃を纏った。
「バーストォォォッ!」
セシリアが着地と同時に聖剣を叩きつける。
と、そこから床を這うようにして、電撃がジェイクスの方へと扇状に広がっていく。
「なんだとぉっ!?」
さすがのジェイクスも驚きの声を上げ、大きく上へと跳躍する。
「そこだっ!」
カルティナの射撃が上へ飛んだジェイクスめがけて殺到。
「ちいぃっ!」
自らが跳躍という逃げ場のない行動を取ってしまった事に苛立ち、そして忌々しげな視線を向ける。
そして、鎌のような形状をした短剣を構え、「はあっ!」という掛け声共にそれを振るった。
と、次の瞬間、三日月型の赤黒い魔法の刃が生み出され、それが放たれた魔法弾を全て粉砕しながらカルティナへと襲いかかる。
「くっ!?」
カルティナがそれを回避すればレインズたちに当たる。
その為、その場を動けない。
――ならば……耐えられるかわからないが、この場でブロックするしかない……っ!
飛来する魔法の刃をブロックする事を選択したカルティナが、両手に持った銃斧を交差させる。
そして、銃斧に魔法の刃が接触。
ギィィィンッ! という甲高い金属音が響き渡る。
「カルティナ! 受け止めてないで斬っちゃいなさいよ! その銃斧なら、そのくらい簡単に出来るわよ!」
漆黒のマリオネットを破壊したルーナが、カルティナに対しそんな言葉を投げかけた。
カルティナはそれに反応するように、銃斧を前に押し出すようにしつつ、魔法の刃を薙ぐ。
と、パキィンというガラスが割れたような音と共に、あっさりと魔法の刃が砕け散った。
「おお……これは凄いな。良い武器を作るではないか、ルーナ」
「ふふん。ラディ程じゃないけど、私だってもうこのくらいの物は作れるのよ」
カルティナの言葉に対し、そう胸を張って返すルーナ。
このくらい……などと言っているが、実際には桁違いの代物だったりする。
セシリアの聖剣やラディウスの作る武器など、魔法を斬ったり破壊したり出来る規格外の物ばかりが周囲にあるせいで、ルーナ自身が大した事のないように思ってしまっているだけである。
「ギヒャヒャヒャヒャ! なかなかやってくれんじゃあねぇかぁ!」
天井に張り付いた状態で、ジェイクスがそんな事を笑いながら言う。
そして、その場にいる者たちを見回し、
「けどまあなんだぁ……。さすがに多勢に無勢すぎてよぉ、ちぃとばかしきちぃんでなぁ……。ここは一旦退散させて貰うぜぇっ」
なんて事を言って、そのまま天井に吸い込まれるようにして染み込んでいく。
「逃がすかっ!」
というラディウスの声と共に、ラディウスの銃からビームのごとき魔法が放たれる。
更にルーナのクロスボウからも魔法のボルトが連続して撃ち出され、レインズの持つガジェットからも氷柱――いや、氷槍が一斉に放たれた。
しかし、それらの魔法がジェイクスに到達するよりも先に、ジェイクスの方が天井の中へと消えてしまったのだった……
ルーナが着々とラディウスに近づいていますね……
といった所で、また次回! 更新は明後日、月曜日の予定です!




