第3話 呪物と常駐魔法。現れし者たち。
――くっ。さすがに俺1人で2人を守りながらこいつを退けるのは厳しい。
魔法で隙を作って、その間に離脱させるしかないか……っ!
レインズがそう考えた直後、
「そうはさせないのだわ!」
という声が響き、3人とジェイクスの間に刃が突き刺さった。
「んだぁ?」
ジェイクスが伸びてきた刃の先へと顔を向ける。
と、そこには伸縮する剣を手にするクレリテの姿があった。
そして、それに続くようにしてラディウスたちも姿を見せる。
「この剣、こういう時は便利だよね」
「ふふーん、もっと褒めるのだわ!」
なんて事を言うセシリアとクレリテ。
「この新しい武器の力……存分に試させて貰おう! 貴様でな!」
カルティナがそう言い放ち、やや小さめの片手持ちの斧に銃が組み合わさったような、そんな妙な形状の武器――銃斧とルーナが呼んでいる新たに生み出した武器――を両手に持ち、階段を駆け下りながら……トリガーを引く。引く。引くっ!
激しい連射音と共に、トリガーを引いた回数分の小さい魔法弾が発射され、ジェイクスへと飛翔。
しかし、ジェイクスはそれを後方へ滑るように移動し、あっさりと回避する。
だが、それでも十分すぎる程の牽制にはなっており、カルティナがレインズとジェイクスの間へと割り込む。
「いきなり割り込んでくるたぁな。つーか、多すぎだろぉ。さすがにこのままじゃあ、ちーっとばかし不利だぜぇ」
ジェイクスはやれやれと言わんばかりに首を振ると、
「つーわけで、出番だぜぇ」
などという言葉と共にパチンと指を鳴らした。
と、その直後、漆黒のマリオネットが3体、ジェイクスの周囲に出現。
「おら、上の奴らを抑えておけやぁ!」
そう告げると、マリオネット3体が四肢を人間では曲がらない方向へと折り曲げながら大きく跳躍し、ラディウスたちの方へと襲いかかる。
ジェイクスはそれを一瞥しつつ、カルティナの方へと視線を向け、
「なかなかおもしれぇ武器だが、軌道が読みやすいぜぇっ!」
そう言い放ちながら、石床を滑るかのように突進するジェイクス。
「この程度で止められるとでも思った!?」
セシリアがマリオネット1体をあっさり両断し、階段を駆け下りる。
「マリオネットを一撃で引き裂いただぁ? なんつー剣だよ、マジでよぉ」
「聖剣の聖女だからねっ!」
セシリアは返答になっていない返答をしながら、階段の途中で跳躍。
手に持った聖剣を振り上げた状態でジェイクスに飛びかかる。
「だが、使い手の方は脳みそが足りてねぇみてぇだなぁ? 跳躍なんざ狙い撃ってくれって言ってるようなもんだぜぇぇ?」
セシリアに向かって、呆れ返ったように言葉を投げるジェイクス。
そして、飛びかかって来るセシリアを迎撃しようと、どこからともなく取り出した左右の手に5本ずつ、合計10本の短剣を一斉に投擲した――
敵1人に対して、こちらは7人(うち1~2人はあまり戦闘向きではありませんが……)ですからね。多すぎというのも分からなくもないというものです(何)
とまあそれはそれとして、また次回! 更新は明後日、土曜日の予定です!




