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第2話 魔工士は語る。気づいたルーナと知ったルーナに。

「それで……ラディ、なんだか凄く禍々しい靄がマークスおじさんに纏わりついているんだけど……何なの、あれ……。シャドウコラプス? って名前が頭に浮かんでくるけど……。魔物ってわけじゃないわよね?」

 ルーナはマリエルからマークスへと視線を戻しつつ、ラディウスに疑問の言葉を投げかける。


「ああ、シャドウコラプスは魔物じゃなくて『魔法』だ。マリスディテクターは人から見て害悪な物、脅威となる物を探知するから、魔物以外でも条件に一致する存在があれば、こうして引っかかる」

「あ、なるほど……そういう事ね。でも、それならどうして今まで見えていなかった魔法が、急に見えるように……?」

「その説明は時間がかかるから後にしよう。とりあえずこれをどうにかするぞ」

「あ、うん、そうね。たしかにそっちが先ね! でも、これの原因って……ん? んん?」

 ルーナがなにかに気づいて、マークスの方――正確には腕の方を見る。

 

「お? もしかして、原因に気づいたのか?」

「原因かどうかはわからないけど……シャドウコラプスっていう魔法を発動させているガジェットの反応を、マークスおじさんの腕から感じるわ」

 ルーナがラディウスの問いにそう返すと、それを聞いていたマークスが、

「ガジェット? もしかしてこれの事かな?」

 と、そう言いながら、メビウスの輪のような物が彫刻された腕輪をふたりに見せてくる。

 

「あ! それよ、それ! さっきよりも魔力っぽいものを強く感じるわ! ラディ! あれが原因で間違いないわよね!?」

 腕輪を指さしながら、問いかけるルーナ。

 ラディウスはそれに頷き、答える。

「ああ、そうだ。あの腕輪型ガジェットが発動させている魔法――シャドウコラプスが原因だ。こいつは、身体の内側から侵食して衰弱させるという、一種の毒のような性質を持っている」


「ど、毒っ!? マークスおじさん、それを外して! すぐに!」

「あ、ああ……」

 マークスは、いまいち理解が追いつかないが、毒と言われては身に付けておくわけにもいかず、ルーナに言われた通り腕輪を外す――否、外そうとして外せなかった。

「……ん? おかしい……。外れないな……」


「なるほど……そういう事か。これは解除が必要そうだな」

 と、何かを納得するラディウスの言葉に反応したルーナが、顔を向けて尋ねる。

「えっと……? そういう事って、どういう事なのよ? それに解除って?」

 

「――簡単に言うと、この腕輪型のガジェットにはロックがかかっている。それのせいで外れなくなっているんだ」

「ロック? 外れない……?」

 小首をかしげるルーナに、ラディウスは告げる。

「んー、『呪物』と言った方がわかりやすいか? 一般的にはそう呼ばれているし」


「じゅ、呪物!?」

 ラディウスの言葉に、ルーナ……ではなく、マリエルが驚きの声を上げた。


「え? 呪物だとそんなに驚くような事なの?」

 呪物がどういう物かを理解していないルーナが、よくわからないと言わんばかりの表情で疑問の言葉を口にする。

 

「呪物は付けたら外せなくなるっていう、文字通り呪われたガジェットの事よ!」

 マリエルがそうルーナに説明する。

 

「ええ、そうです。その通りです。……まあ、あくまでも巷では、ですけど」

 ラディウスが肯定しながらそう告げた直後、呪物がどういう物かを理解したルーナが、マリエル以上に慌てふためいた。

「え、えええっ!? じゅ、呪物ってとんでもない代物じゃないっ! ど、ど、どうすればいいの!? 壊すの!? 壊せばいいのっ!?」

 

 ラディウスはその姿を見て軽くため息をついた後、腰に手を当て、努めて冷静に、

「落ち着けって。ガジェットはそう簡単に壊せはしない。それと、俺は『あくまでも巷では』と言っただろ? 呪物が外せないのは、ガジェットにロック機能を付与している魔法――正確に言うなら魔術式、か。まあともかく、そいつのせいなんだ。だからそれを無効化してやればいい」

 と、さも大した事ではないと言わんばかりの、自信に満ちた口調で告げたのだった。

これと似たような魔法、実は『サイキッカーの異世界調査録サーベイレコード』にも登場しています。

まあ、世界も魔法の構造も完全に別物なので、あくまでも似ているだけというか……一種の自己オマージュです(何)

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