表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

219/636

第2話 呪物と常駐魔法。待ち構えるもの。

 一方その頃――

 

「……追っ手の気配は感じない。どうやら完全に撒けたようだ」

 レインズが後方に視線を向けながら、そんな風に言う。

 

「さすがに水路の上を逃げている私たちを追うのは無理だったようですね」

「ああ。足音も消しているから音で位置を掴んで回り込む……といった事も出来ないと考えていいだろう」

 オードの言葉に頷き、そう答えるレインズ。

 

「これで安全に冒険者ギルドへ向かえますですね」

「そうだな。この入り組んだ地下水路で一度俺たちの位置を見失えば、もう見つける事は不可能だ。冒険者ギルドへ向かった事も気付かれないだろう」

 カチュアに対してレインズがそんな風に返した所で、

「ええ。行くとしましょう」

 と、オード。

 それに対してふたりは頷き、そして冒険者ギルドへ向かって歩を進める。

 

 そして、程なくして、冒険者ギルドに程近い地下水路の出口が見えてきた所で、

「もう少しで冒険者ギルドに着きますです」

 そうカチュアが言う。

 

「ああ。この辺りは依頼で何度か来た事があるから見覚えがある。先の階段を登れば……む?」

 レインズが何かに気付いて言葉を途中で止め、歩みも止めた。

 

「どうかしましたですか?」

 と言いながらカチュアも停止し、オードもそれに続く。

 

「……ちょっとばかし厄介な奴が待ち伏せしていたようだ」

 という言葉と共に、ラディウスから借りたままのガジェットを構えるレインズ。

 

「おっと、俺に気づくとは流石じゃねぇかぁ。レインズよぉ」

 という声と共に、ジェイクスが暗がりから姿を現す。

 

「あの時の……っ!」

 カチュアが驚きの声を上げる。

 

「よもや、おめぇまで過去に戻ってきてるたぁ思わなかったぜぇ。本来だったら現れるべきタイミングで、おめぇが現れねぇから、もしやと思って手駒どもに確認してみたらよぉ、そっちのふたりを取り逃した――いや、地下水路に逃げ込まれたっつー話だったからよぉ。こうして先回りさせて貰ったぜぇ」

 ジェイクスは両手を広げてそんな風に言うと、背を仰け反らせながら「げひゃひゃひゃひゃ」と、下卑た笑いを発する。


 ――先回り……? 私たちの動きを読んでいたという事でしょうかです。

 ……それとも、やはり……?


 そんな事をカチュアが考えていると、前に立つレインズが肩をすくめてみせた。

「やれやれ、俺の知っているジェイクスとはまるで別人だな」


「あたりめぇだろぉ? いくら冒険者には色んな奴がいるたぁいっても、ちったぁ真面目にしてねぇと目立っちまうからなぁ。マジで窮屈だったぜぇ」

 クルリと回転し、大げさな仕草でそんな言葉を返し、天井を仰ぎ見るような格好で右手を額に当てるジェイクス。


 そこから数秒ほど、ジェイクスはまるで硬直したかのように動きを止めた後、その右手を前――レインズたちの方へと突き出し、

「つーわけでよぉ……。そんな窮屈な思いをよぉ、水泡に帰されちゃあたまらねぇんでなぁ……っ。冒険者ギルドなんぞに行かれる前に、3人揃って――いや、そうじゃねぇなぁ……おめぇとそっちの商人をぶち殺して、ガキをもう一度捕まえさせて貰うぜぇぇぇっ!」

 と、殺意と狂気に満ち満ちた目でそう告げ終えるやいなや、弓から放たれた矢の如き勢いで、一直線にレインズたちへと襲いかかった。

再びラディウス不在回となりました。

という所で次回の更新ですが……明後日、木曜日を予定しています!


また、同時更新中の最新作『ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~』もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ