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第4話 時を超えた者。外へ出る方法。

「ん? ラディ、難しい顔で考え込んでどうかしたのだわ?」

 御者台からラディウスに視線を向けながら問うクレリテ。

 それに対してラディウスは、直前まで巡らせていた思考を中断すると、

「あー、いやー……。――オルディマを回避しつつ、奴らの手の出せない場所までオードさんとカチュアを退避させないと行けないのが厄介だなと思ってな」

 と、思考の内容とは異なる内容を口にした。

 カルティナの話をしても仕方がないと考え、代わりに目下の問題について話す方が良いと思ったからだ。

 

「なるほどなのだわ。たしかにそこは厄介なのだわ。――地下水路から街の外には出られないのだわ? 普通に考えたら出られそうな気がするのだわ」

「ああ、もちろん出られる。出られるが……奴らの使っている船が、地下水路内にあった事から考えると、町の外へ出られる場所は奴らに抑えられている気がするな……」

 クレリテの疑問にラディウスがそう答え、それにセシリアが頷く。

「うん、私もそう思う。奴らの知らないルートもあるかもしれないけど、それがどこかと言われると流石に推測出来ないね」


「周囲を城壁に囲まれた町というのは、こういう状況下では厄介だとしか言いようがないな。……いっその事、新しい出口を作ってしまえないものか……」

 なんて事を腕を組んで考えながら呟くように言うカルティナ


「そうねぇ。でも、そんな簡単に出口が作れるのなら苦労しないのよねぇ……」

「まったくも――ん? 待てよ?」

 ルーナに同意しようとした所で、ふと何かに気付いたラディウスがセシリアに、

「セシリア、例の地図の写し持ってたよな?」

 と、問いかける。

 

「え? あ、うん、持ってるよ。はい」

 そう言いながらセシリアは例の地図の写しこと、地下水路の詳細地図をラディウスに手渡す。

 

 ラディウスはそれを受け取り、その場に広げると、

「むむっ、私も見るのだわ」

 という言葉と共に、クレリテが御者台から馬車の中へと入ってくる。

 

 そして、地図を見て、

「カレンフォート市に地下水路があるのは知っていたのだわ。でも、ここまで複雑な構造だとは思わなかったのだわ」

 と、そんな感想を口にするクレリテ。

 

 そのクレリテの横から地図を覗き込んでいたルーナが、

「これ、詰め所で貰った奴よね? あの時よりも詳しくなってるというか……網羅されてる感じがするわね……。セシリア、一体何したのよ?」

 なんて事を言ってセシリアを見るルーナ。

 

「あー、えーっと……出発前に教会で古い地下水路の地図を見つけてね。それをもとに私が書き加えたんだよ」

「さすがは教会……というべきなのかしらね? まさかそんな物まであるなんて思いもしなかったわ」

 セシリアが苦し紛れででっち上げた『理由』は、特に違和感がなかったので、ルーナはあっさりと納得する。

 

「で、この地図を見てどうするのだ?」

 というカルティナの問いに、ラディウスは地図をくまなく見ながら、

「カレンフォート外縁部の、城壁の上へと行ける塔が近い場所にあるような、地下水路への出入口がないかとちょっと思ったんだが……」

 と、返す。

 

「うーん……市内の地図がないとわからないね」

「……だなぁ……。やっぱこれだけじゃ駄目か……。仕方ない、ギルド辺りで市内の地図を確保してから考えるしかないな。どうせ、ギルドには行くんだし」

 セシリアの言葉にそう答えるラディウス。

 そして思う。

 

 ――果たして『向こう側』は問題なくギルドへ向えているのだろうか……と。

次の話は、本作初――だったはずです……多分――となる、ラディウス不在話です。

元々ラディウス視点で描かれているわけではないのですが、なんだかんだで今までラディウス中心でしたからね……


という所で、その次回の更新ですが……明後日、月曜日の予定です!


それと、ほぼ年1で増えている新しい物語――『ファンタジー世界の大魔道士、地球へ転移す ~異世界生まれの高校生?~』が先日から公開されています!

こちらも併せてよろしくお願いいたします!

(微調整しながら20話分くらいは、1日数話ペースで投稿していく方向性の為、かなり投稿の時間がバラバラです……)

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