第2話 時を超えた者。合流した者。
「つまり……カルティナは未来から時を遡ってきた人間で、あのレインズさんとエレナさんの娘だった、と?」
カルティナの話を聞いたセシリアがそんな風に言う。
ラディウスたちは今、セシリアが用意してきた馬車で、カレンフォート市へ向かっており、その道中の馬車内で、これまでの話とカルティナの詳しい話をしていた。
「うん、そういう事だ。……まあ、再び時を遡る事になるとは思わなかったが」
「時を遡ったのは……カチュアの持っていたガジェットの力よね? あの魔軍影将とかいうのは、神剣がどうとか言っていたけれど……」
カルティナの言葉に続き、そう疑問を口にするルーナ。
「それは多分、あのオルディマの勘違いだねぇ。正確にはカチュアのガジェットと、私とラディの持つガジェットが反応した結果……だと思うよ」
と言いながらラディウスの方を見るセシリア。
それに対しラディウスは頷き、
「ああ、間違いない。そして、それ故に一種の情報共有……のような事が簡易的ではあるが可能だ」
と、そんな風に返す。
「ガジェットの共鳴……。組み込まれている常駐魔法の相互反応……かしら? いえ、それとも――」
などと、なにやらブツブツと言いながら思考を巡らせ始めるルーナ。
「……さっきから、話にサッパリ付いていけないのだわっ!」
唐突にそんな声が馬車の前方から聞こえてくる。
それは、御者台にいるクレリテの声だった。
なぜここにクレリテがいるのかと言うと……今、ラディウスの乗っているこの馬車は、マクベインとクレリテが使っているものなのだ。
「私がちょーっとばかし法国へ行っている間に、一体何があったのだわっ!?」
やや立腹気味な様子で、そう口にするクレリテ。
――ああ……。この数日、クレリテの姿が見えなかったのは、法国へ行っていたからだったのか。
って、それはまあそれとして……
ラディウスはそんな事を考えながら、セシリアの方を向いて問う。
「……セシリア、クレリテたちに説明していなかったのか?」
「あー、急いでいたから、何も説明していない……ね……」
「そ、そうか……。しかし、それでよく馬車を出してくれたもんだな……」
「血相を変えてやって来て馬車を出せと言われたら、何か火急の事件があったと思うのは当然なのだわ。だから、私もマクベインも二つ返事で馬車を出す事にしたのだわ」
そんな風に言うクレリテに対し、ラディウスは思う。
――なんだかんだで、クレリテも人が良いな。
……いや、セシリアに対して若干ライバル意識があるだけで、素は真っ直ぐな善人か。
マクベインさんの方は言うまでもないけれど。
と。
「まあ……とりあえずカレンフォートに着くまでの間に、今までの事をもう少し詳しく説明するとしようか。カレンフォートに着いてからどう動くかについても、話しておきたい所だしな」
ラディウスはそう切り出し、皆に対して詳しい説明をし始めた――
というわけで(?)クレリテたちが合流しました。
戦力5割増しです!(人数的に)
といった所で次回の更新ですが……明後日、木曜日を予定しています!
それと……今週のどこかで、第3作目となる物語を公開しようかと思っていますので、そちらもよろしくお願いします!
(ラブコメ風味(あくまで風味)現代ファンタジーといった感じの内容で、敢えて『同じようなネタ』であまり長くない話を3作作るという試みの1作目です!)
現在最終調整中なので、今日の夜か明日の夜のどちらかでの公開となりそうです……
(つまり、本作の次回更新までには公開する想定でいます)




