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第1話 時を超えた者。記憶の彼方。

「――よし、大体こんな所か。崩落していた場合や、不測の事態が起きた場合のための第2案となるルートも記しておいたし、これで大丈夫だろう」

 色々と書き込まれた地図を見ながらそんな風に言うラディウスに、

「はいです! ここまで準備しておいて逃げ切れないというのは、まずありえませんです!」

 と、力強い言葉で返すカチュア。

 

「まあ、もしヤバい状況になったら一旦こっちへ退避してくればいいしな」

 というラディウスの言葉に、セシリアが頷く。

「うん、そうだね。もしそうなったら、その時また考えよう」

 

「それじゃあ、向こうに戻るか。まあ、メルメメルアからしたら、何も変わらないというか、ヤバい状況になって退避してきたか、もしくは成功して次の段階に入った俺たちに一瞬で変わるだけだけどな」

 そう言ってメルメメルアの方を見たラディウスに、メルメメルアは、

「すぐに結果が分かるというのも不思議な感じなのです」

 と返すと、カチュアの方へと顔を向け、そして告げる。

「――カチュアちゃん、頑張るですよ!」

 

「もちろんですです! 全力で頑張りますです!」

 カチュアがその言葉を言い切った直後、3人は一瞬にして向こう側の世界の元いた場所へと戻ってきた。

 

「さて……。俺も急いで、カレンフォートへ向かうとするか」

 自身の店へと戻ってきたラディウスがひとりそう呟き、カレンフォート市へ向かう為の準備をしていると、

「ラ、ラ、ラディィーッ! な、なんか、魔法で時間が巻き戻ったっぽいんだけどぉぉっ!?」

 と、時間の巻き戻りを認識しているらしいルーナが、そんな事を言いながら駆け込んできた。

 

 ――魔法で巻き戻った事まで理解しているのか。さすがはルーナというべきか……

 まあもっとも、言い回しと声の雰囲気からすると、混乱しているには混乱しているみたいだけどな……

 なんて事を思いつつラディウスは、

「その辺の詳しい説明は後だ。今はとりあえずカレンフォート市へ行ってくる」

 と告げる。

 

「ちょっと……なんでラディひとりで行こうとしているのよ? 私も行くに決まってるわよ!」

「その通りだ。……私には助けねばならぬ者が増えたのでな」

 ルーナの言葉に続くようにして、いつの間にか店内に姿を見せていたカルティナが言ってくる。

 

「うわぁっ!? カ、カルティナ!? い、いつの間に現れたのよ……?」

「――助けねばならぬ者が増えた……というのは?」

 ルーナとラディウスが、ほぼ同時にそんな問いの言葉を投げかけると、

「同時に問いかけるな……。まあいい、順番に答えよう。――私は今来た所だ。先程、いつの間にかこの街の冒険者ギルドにいて驚いたが、すぐに過去へ来た事を理解した。……というより理解出来てしまったのだ。――私は一度、同じように過去へ……いや、この時代へと未来から跳んできているからな」

 なんて事をカルティナが言った。

 

「それは……記憶が戻ったという事か?」

「うん、戻った。……が、全部ではない。戻った記憶はごく一部だけでね、ラディと出会った事やこの時代へ来る前にあった事の大半は、未だに靄がかかっているかのような状態でさっぱりだ。だから未来の事を聞かれても分からん」

 ラディウスの問いかけにそう返し、肩をすくめるカルティナ。

 

「でも、一部でも記憶が戻った事は喜ばしい事よね。おめでとう、カルティナ」

「ああ、ありがとう」

 ルーナに対してお礼を述べると、そこで一度言葉を切り、カルティナはラディウスとルーナを交互に見て、自身の胸に手を当てながら改めて口を開く。

 

「――そして、助けねばならぬ者だが……その『思い出した記憶』で気づいたのだ。エレナとレインズ……あのふたりが、私の両親だという事を……な」

カルティナがふたりに対して妙な感覚を抱いていた理由がこれです。

カチュアやメルメメルアとの話が思ったよりも長引いた為、結構な遠回りをした感じになりましたが、ようやく辿り着けました……!


といった所で、また次回! 次の更新は明後日、火曜日の予定です!

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