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第5話 第3の転移者。並行世界を知る者たち。

「あー、えっとそれは……」

 セシリアがどう答えたら良いかと思いラディウスの方を見る。

 

 ――仕方がない。今までの流れを説明するか……

 

 ラディウスは頭を掻きながらそう考え、メルメメルアに並行世界から来た事や、並行世界間を移動出来る事などを、順番に説明する事にしていく。

 

 そして、その説明を聞き終えたメルメメルアが、

「まさか、並行世界から来ていたとは思いもしなかったのです……! どおりでどれだけ考えても、ラディウスさんがこちらへ飛んでくる前の時代がわからなかったはずなのです!」

 と、そんな風に言った。

 それを聞き、それなりに知識があるからなのか分からないが、随分とあっさり理解したな……と、思うラディウス。

 

「すまん、並行世界から来たっていうと混乱させそうだったから、言えなかった。……が、こうもあっさり理解してくれるのなら、もっと早く説明するべきだったな」

「まあ、冒険者ギルドで最初に出会った時に言われたら混乱していたと思うですが、いつの間にか強力なガジェットを用意していたり、いつの間にかセシリアさんが横にいたりした辺りで、なんとなく『可能性』として考えてはいたです」

 ラディウスの謝罪の言葉に対し、そんな風に返すメルメメルア。


「うん? メルアメルメちゃんは、並行世界の概念を知っていたって事?」

「前半と後半が逆なのですっ! なんでそんな惜しい間違え方をするですかっ!?」

 なんて事をセシリアに対し言うメルメメルアを見ながら、

「惜しい間違え方っていう反応の仕方はどうなんだ……?」

「間違えられすぎて、思考が少しおかしくなっている気がしますです」

 などと小声で言うラディウスとカチュア。

 

 そして、そんなふたりの生暖かい目と、その意図に気づいたメルメメルアは、

「んっ、んんっ! へ、並行世界に関しては、アルベリヒが度々その可能性について話をしていたので、ある程度は知識があるのです!」

 と、込み上げてきた妙な気恥ずかしさを打ち消すために、セシリアに怒りの視線をむけながら、声を大にして並行世界について知識がある理由を告げる。

 

「アルベリヒが?」

 ラディウスが顎に手を当てながら問いかけると、メルメメルアはラディウスに対して首を縦に振り、答える。

「です。アルベリヒは、ヴィンスレイドは死んでおらず、並行世界に転移した可能性をレゾナンスタワーに残されていた記録から掴んでいたようなのです。……まあ、ラディウスさんたちの話で、ヴィンスレイドの並行世界への転移が証明された形になったですが……」


 ――つまり、アルベリヒは並行世界間の転移は出来ないって事になるな。

 そしてそうなると、現時点では俺たち以外だと、ヴィンスレイドだけが並行世界間を移動する事が出来た……という話になるが……

 果たして本当にそうなのか……? もしかしたら、ビブリオ・マギアスの中にもいるんじゃなかろうか……

 

 ラディウスがそんな事を考えていると、

「……それにしても、カチュアちゃんがその並行世界で大変な事になっているとは、思いもしなかったのです。そして、助けに行けないのが歯がゆいのです」

 そう言って、悔しそうな表情をするメルメメルア。

 

「そこは仕方ないと思うよ。でも……そっちに関しては、たしかにどうにかしないと駄目だよね。……どうする?」

 と言ってラディウスの方を見るセシリア。

 その言葉を聞いたラディウスは思考を中断すると、

「そうだな。……ちょうどカチュアもこちらにいる事だし、向こうへ戻る前に、向こう側での行動方針――どう動くべきかを決めておきたい所ではあるな。……メルも一緒に考えてくれると助かる。俺たちとは違う視点ならではの何かに気づく事が出来るかもしれないからな」

 と言いながら、メルメメルアの方へと顔を向ける。

 

 メルメメルアはそれに対し、自身の胸に右手を添え、

「無論なのです! 直接手を貸せないのなら、そのくらいはするのです!」

 と、やる気に満ちた目で答えた。

ようやく? 向こうの世界側の状況をどうにかしようという所へやってきました。

随分と遠回りしてしまった気がしないでもありません……


という所でまた次回! 更新は明後日、土曜日を予定しています!

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