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第1話 第3の転移者。カチュアの歩み。

「つまり……カチュアちゃんの『私たちが持っているガジェット』と同系統のガジェットによる時間逆行が発動して、それに巻き込まれた……と、そういう事?」

 ラディウスの推測を聞いたセシリアが、そんな風に言った。

 

「ああ、そうだろうと俺は考えている。あの状況下ならその可能性が最も高いからな」

 頷いてラディウスがそう返すと、

「ですがです、私の時間逆行はオルディマに封じられてしまっていたはずでは? です」

 と、カチュアが疑問の言葉を投げかけてくる。

 

「おそらく、俺とセシリアのガジェットが共鳴した事で、時空歪曲とやらに何らかの影響を与えたんだと思う。あいつら、時空歪曲逆行――歪曲の効果が反転している、とか言っていたからな。……まあ、カチュアはあの時、既に死亡していたから、その辺の言葉は聞いていないと思うが」

「あ、はいです。首筋に凄まじく鋭い痛みが走った直後から、まったく記憶にありませんです」

「まあうん、そうだろうね……。首をスパーンって跳ね飛ばされていたしね」

 セシリアが右手を水平に素早く動かして、ハルパーの動きを再現してみせる。


「スパーン……。ある意味、あっさり死んだので良かったと言えなくもないですが……です」

「どゆこと? 今までも死んだ事あるの?」

 カチュアの言葉に首を傾げるセシリア。


「あ、はいです。これで26回目ですです。でも、今までは魔物の群れにバリバリと食べられたり、毒系の魔法で内側からグチャグチャにされたりと、酷く痛い死に方が多かったものでして……です。それに比べたら一瞬だったので良かったと言えなくもないというわけなんですです」

「う、うわぁ……。なんだってそんな事に……」

 セシリアがカチュアの語るその光景を想像してしまったのか、顔をしかめながら問う。

 

「最初の方は単純に凶悪な魔物ばかりいる山岳地帯に飛ばされたせいなのです。最近はビブリオ・マギアスが、私が『過去に戻れる』事を知ったらしく、どうやったら時を戻させずに始末出来るのか……と、色々試してきましたです」

「――な、なるほどね……。でも、どうしてビブリオ・マギアスはそれを知っているの?」

 説明を聞いたセシリアが、納得しつつも新たに湧いてきた疑問を口にする。


「多分……時が戻る時に、今回のように巻き込んだのではないかと思いますです。そして、ビブリオ・マギアスにとって都合の悪いように歴史を書き換えている事を知り、それを阻止しようと考えたのでしょうです」

「あれ? その感じだとガジェットを持っているのは、カチュアちゃんだけ? オードさんは持っていない?」

「はいです。……というのも、お父さんは本当のお父さんではありませんです。私がどうにか山の麓に辿り着いた所で、盗賊団に襲われている場面に遭遇しまして……私もそれに巻き込まれましたです。そして、時が戻る事にお父さんを巻き込んだ事が縁で、養女となりましたです。あ、私の状況を知りつつも娘にしてくれた事に、凄く感謝していますですよ」

「そうだね。凄く良い人だと私も思うよ」

 セシリアはカチュアの発言を聞き、頷いて同意の言葉を口にする。

 

 ラディウスもまた、それに「そうだな」と同意し、それから問いの言葉を投げかけた。

「……どうしてカチュアは歴史を書き換えようとしているんだ?」

 

「……私は、未来の世界から来ましたです。そこでは、エクリプスの研究が行われていて、療養のためと称してサナトリウムに集めた子供を実験体に使っていましたです」

「……うん? 未来?」

「んん? サナトリウム?」

 カチュアの言葉に引っかかりを覚えたラディウスとセシリアは、そんな事を呟きながら首を傾げるのだった。

ちなみに、カチュアが飛ばされた「山岳地帯」というのは、以前少しだけ話題に出た「グラスカーナ山地」の事です。

何故にそのような場所に飛ばされたのかについては、いずれ……


といった所でまた次回! 更新は明後日、金曜日を予定しています!

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