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第4話 冒険者ギルドにて。共鳴反応。

 向こう側の世界への移動に失敗したラディウスは、セシリアの方へと視線を向ける。

 その視線に気づいたセシリアは、一瞬目を見開いて驚いた様子をみせた後、すぐに小さく首を横に振って返す。

 つまり、セシリアも失敗したという事である。

 

 ――時空歪曲……時を越える力が発動出来ないと言っていたが、まさか……あのガジェットの力自体が無効化されている……のか?

 

 オルディマの言葉からその事を推測したその直後、

「滅せよ」

 というオルディマの言葉と共に、エリーシアが手に持った鎌のような形状をした剣『ハルパー』で、カチュアを首を跳ね飛ばした。

 

 一瞬の出来事すぎたがゆえに、誰もそれを阻止する事が出来なかった。

 

「「「「っ!!」」」」


 ゴトン、という音と共にカチュアの頭が床に落ちたその直後、キィンという甲高い音が響き、カチュアの胸元が光る。

 しかし、その光は一瞬で終わり、すぐに消えてしまった。

 

「消失せず、か。どうやら成功したようだな。……む?」

 オルディマが妙な違和感を覚え、周囲を見回す。

 

 キィンという音が再び響く。今度は2回。

 それは、ラディウスとセシリアから発せられた物だった。

 

「共鳴反応……だと? どこからだ?」

 オルディマの疑問の声に続き、再び周囲の景色がグニャリと歪む。

 だが、今回は歪み方が先程とは真逆だった。

 

「時空歪曲逆行!?」

「共鳴の影響で歪曲効果が反転しているぜぇっ!?」

 エリーシアとジェイクスのそんな驚きの声に続くようにして、

「この場に同一のガジェットがあるのか?」

 と、そこまで言った所で何かに気づきセシリアの方へと顔を向けるオルディマ。

 そして、「まさか、神剣――」と言葉を紡ぐも、そこで声がかき消された。

 

 周囲全てがホワイトアウトし、視界は白一色で塗りつぶされ、誰の声も聞こえなくなる。

 そんな中、ラディウスは気づく。

 

 ――これは……この感覚は……時を遡った時の……

 

 ……

 …………

 ………………

 

                    ◆


「っ!?」

 

 視界が急に元に戻り、周囲から音が聞こえてくる。

 だが、その音はオルディマたちの声ではなく、街の喧騒だった。

 

 いつの間にかラディウスは机に座っており、その机の上には大きめの用紙が広げられており、そこには書きかけの術式が記されていた。

 

「……これは、あの呪法をどうにかする為の……」

 ラディウスは、そう呟いた所でハッとなって向こう側の世界への移動を試みる。

 

 と、次の瞬間、何事もなかったかのようにモーテルに立っているラディウス。

 すぐ近くに椅子にセシリアもいた。


 否、それだけではなかった。

 なんと、カチュアもラディウスの横に立っていたのだ。

 

「ラ、ラ、ラディ!? オルディマたちはどこに!? っていうか、いつの間にか教会に居たんだけどっ!?」

 驚き、慌てた椅子から立ち上がり、混乱しながらそんな風に詰め寄ってくるセシリア。

 

「こ、こ、こ、これはどういう事でしょうかですーっ!? ど、ど、どうしてラディウスさんとセシリアさんがこの場におられるのか謎ですですーっ!? そ、そもそも、私は時間逆行に失敗した…………い、いえ、もしや……魔軍影将の時空歪曲が失敗したのでしょうか……です?」

 カチュアの方は混乱しつつも声を発している内に、どうにか冷静さを取り戻す。

 

 ……と思いきや、

「い、いえでも、そ、それなら、どうしてラディウスさんとセシリアさんがいるのかわかりませんですーっ!? そ、それに、それに、ここはどこなのかさっぱりわかりませんですーっ!」

 と、すぐに再度混乱してしまった。

 

 ふたりの混乱する姿を見ながら、逆に冷静になってしまったラディウスは、心の中でため息をつき、ふたりに対してどう説明するのが良いのだろうか……と、そんな事を思った。

というわけで、3人目の並行世界間移動者の追加となりました。


とまあそんな所で次回の更新ですが……明後日、水曜日の予定です!

次の話は既に半分以上書けているので、今回は更新出来るはず……です……

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