表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

195/636

第4話 地下に秘されし物。囚われし親子。

 カルティナとレインズによって発見された商人の親子――オードとカチュアの居場所へとやってきたラディウスは、その光景に驚く。

 

 ――これは……向こう側の世界の宮殿――正確に言うと、そこに造られた妖姫が囚われていたあの監獄にそっくりだな……

 どうしてこちらの世界にこんなものが……? しかもこんな大昔の地下神殿に……

 

「床も壁も天井も、見た事もない材質で造られているわね……。金属っぽい物……というのだけはなんとなく分かるけれど……」

 周囲を見回しながらそんな風に呟くルーナに、

「そうだね。しかもこれ、神剣でも傷一つ付かないくらい頑丈だよ」

 なんて事を言うセシリア。


「これを破壊するのは、かなり骨が折れるだろうな」

 ラディウスはそうふたりに言うと、レインズの方へと向き直り、問う。

「それで、あのふたりは?」


「ああ。この先の分岐を左に曲がった所だ」

 レインズはそう答え、ラディウスたちを誘導するように先を進む。

 そして分岐を曲がって間もなくの所で、

「ここだ」

 と、並ぶ牢のひとつを指し示す。


 ラディウスがその牢へと視線を向けると、妖姫の囚われていた牢と同じく、施錠されている事を示す赤のランプが点灯しているのが見えた。

 

「なるほど……。これならすぐに解除出来るな」

 そう呟くように言ったラディウスに、

「その声は……ラディウスさんですかです? 本当に来たのですねです」

 という、独特な言葉遣い――カチュアの声が返ってくる。

 

「ああ。すぐに開けるから待っていてくれ」

 と言ってラディウスは、妖姫の囚われていた牢を開いたガジェットを使い、文字通りすぐに解錠を完了。その事を示すようにランプが赤から青へと変わる。

 

 ラディウスが扉を開き中に入ると、鎖で拘束されたふたりの姿があった。

 

「あっさりと解錠してしまわれるとは……。さすがでございますね……」

 そう言ってくるオードの顔には疲労が浮かんでいたが、幸いにも外傷の類は見当たらなかった。


「どうしてこんな事になったのか聞きたい所ですが……その前に外へ出るとしましょう。まずは鎖を――」

 

 ――幸い妖姫を拘束している鎖と違って、これは普通の鉄の鎖だ。

 

 ガジェットの魔法で十分切断出来るとラディウスは考え、切断するためのガジェットをストレージから取り――

「――ぶった斬っちゃえばいいんだよね? 任せて!」

 ……出す前に、セシリアがそんな風にラディウスの発言に続く――いや、割り込む形で言葉を紡いだかと思うと、神剣を連続して振るい、ふたりを拘束していた鎖をバラバラにした。

 

 ――よくまあ、こうも器用に斬り刻めるものだな……

 

 ラディウスは感嘆と嘆息の入り混じった心の声を呟きつつ、

「このまま脱出しようと思いますが……歩けますか?」

 と問う。それは、カチュアは抱えて運べなくもないが、オードの方は少々厳しいので、自力で歩いて貰うしかないと考えたからだ。

 

「大丈夫です」

「私も問題ありませんです」

 ふたりともそんな風に言ってくる。

 

 カチュアの方は抱えた方が良いのではないかと思い、そう提案するラディウスだったが、カチュアは再び問題ないと告げ、駆けていく。

 

「まあ……少し心配ではあるけど、ああ言っている以上、無理に抱えない方がいいんじゃないかしらね?」

「うむ、そうだな。むしろここは、周囲の警戒を優先するとしよう。こうも何も動きがないのが不気味なくらいだからな」

 というルーナとカルティナの言葉もあって、カチュアもオードも自力で歩いて貰う事になった。

 

 そうして監獄から祭壇のある広間へと差しかかった所で、

「……まあ、やっぱりそうだよね」

 と、うんざりとした声で呟くように言うセシリア。

 その発言に対し、条件反射的にマリス・ディテクターを使うラディウス。

 

 ――広間にマリス・ディテクターでの反応が急に現れた?

 今まで悪意と殺意を消して潜んでいた? いや……先程まで俺たちはあそこにいた。

 何らかの方法で俺たちの動きを察知し、脱出路を封鎖するように動いた……といった所か。

 だが、先程反応した数よりも遥かに多くなっている……どうやって、そしてどこから集まって来たんだ……?

 まあ……多いとはいえ、この間の魔軍に比べれば大した事ではないのが幸いだが……

 

 広間に一斉に出現した『ビブリオ・マギアス構成員』に対し、ラディウスはそんな思案を巡らせつつ、銃をストレージから取り出し、そして構えた。

前話に引き続き、2話分あった内容をテンポ重視で色々とカットしました。

というより、敵地で長々と話しているのもどうなのかと思いまして……


とまあそんな所で、また次回! 次の更新は明後日、水曜日の予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ