第3話 地下に秘されし物。魔典なる物。
「神剣教会が登場するよりも前の……暗黒時代の神殿――地下神殿って感じだね。その辺もあの伯爵邸の地下遺跡そっくりかも」
「そうだな。それと……今でも使われている形跡があんな。やはり、あの連中が頻繁に利用していると思ってよさそうだ」
というセシリアとレインズの言葉を聞き、ラディウスとルーナが、それぞれマリス・ディテクターを発動。
「マリス・ディテクターの反応あり……か。しかもこいつらは――」
「――『ビブリオ・マギアス構成員』……ねぇ。どうやら仮面の連中はビブリオ・マギアスの人間だったという事みたいね」
マリス・ディテクターで捉えた存在について、そんな風に言う。
「つまり、奴らは既に国内に入り込んでいたって事になるね……」
「まあ、そういう事になるな……」
セシリアの言葉に、ラディウスはそんな風に呟くように言って思案する。
――だが、伯爵が連中と繋がりがあったと考えると、近くに潜んでいてもおかしくはなかったとも言える……か。
しかし、いつの間にどうやって入り込んだというんだ……?
「とりあえず、まだこちらに気づいてはいないようだし、今の内にあちこち調べてみるのがよさそうね」
「うむ、そうするとしよう」
ルーナの言葉に同意するカルティナ。他の3人もそれに頷く。
「……こっちの祭壇になにかあるな」
レインズが祭壇に近寄りながらそんな事を言う。
「書物……か?」
祭壇に置かれていた大判の――地球で言うなら、A4サイズの物よりも更に一回り大きな――書物らしき物を手に取り、呟くレインズ。
「ふむ……。もしや、魔典とかいう奴だろうか?」
カルティナがそう声をかけると、レインズはその書物らしきものを開こうとしながら、
「その可能性はあるが……どうやっても開かないな……」
と、言葉を返す。
「それ、書物に見えるけど、魔力反応があるからガジェットみたいね。ちょっと解析してみるから貸してくれるかしら?」
そう言ってレインズから魔典を受け取り、解析を開始するルーナ。
……
…………
………………
「どうだ?」
一通り祭壇を調べ終えたラディウスが、ルーナに歩み寄り問う。
「解析は出来たのだけど……なにかしら、これ……。用途が良くわからないわ……」
なんて事を言う。
その言葉に興味を持ち、「どれどれ……」と、ラディウスがルーナの解析結果を確認する。
――この術式は……レゾナンスタワーの中枢にあった物にそっくりだな。こっちは、湖畔で回収したガジェットに組み込まれている術式に似ている……
それに気づいたラディウスがルーナに告げる。
「……こいつは、通信魔法の術式だな」
「通信……魔法?」
ラディウスの言葉に首を傾げるルーナに、
「どれだけ離れていても、特定の場所と特定の場所とで会話が出来る魔法……だっけ? 実在していたんだね……」
と、口にするセシリア。
ラディウスはそれに対し、「ああ」と頷きながら思う。
――俺もレゾナンスタワーやあのガジェットを先に見ていなかったら、わからなかった気がするな。
そして、
「……しかし、なるほど……奴らの『魔典を教義とする』というのは、要するに通信魔法を介したやり取りである……と考えてよさそうだ」
と、そんな推測を口にした所で、
「皆、来てくれないか!」
「商人の親子を発見したぞ!」
というカルティナとレインズの声が聞こえてくる。
「「「!?」」」
ラディウスたちが魔典を解析している間に、ふたりは別の場所を調べていたらしく、祭壇から離れた場所にいた。
良く見ると、すぐ近くに扉があり、そこから奥へ続いているようだった。
「見つけたのか!?」
「ああ! この先だ! だが、扉が妙なガジェットで封じられていて開かない!」
「ガジェットであればなんとか出来るな……。すぐに行く!」
レインズの言葉にそう返し、ラディウスたちはふたりのもとへと走るのだった――
今回の話、実は2話分の想定だったのですが、2話にするには長いと思い半分程カットしました。
まあ……その結果、レインズとカルティナの動きが少しすっ飛ばされてしまっていて、少し気になるので、いずれ調整するかもしれません……
さて、そんな所で次回の更新ですが……明後日、月曜日の予定です!




