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第12話 あの親子を探して。ふたつの地下。

「まあ、ここは古くから交易路の中心とも言うべき街だったからね。こういった非合法な……劣悪極まりない商売をする所もあった、という事だね。今の市長になって、こういったものは片っ端から潰されたみたいだけど」

 ラディウスの横にやってきたセシリアがそんな風に言う。

 

「ああ、そういえばそんな事を話していたな。……まかりなりにも教会の人間ではある、というべきか」

「そうだね。あの人の話を聞くのはうんざりするけど、こういった長年問題視されながらも灰色のままになっていた所を、きっちり白黒つけて対処した点は褒めてもいいかな」

「なんで、上から目線なのか……」

「ほら、一応聖女だし?」

「なるほど……?」

 

 ラディウスとセシリアがそんな事を話しながら地下を調べるも、特にこれといって何も見当たらない。

 

「どうやら、こっちじゃないみたいだね。人間を閉じ込めておくにはちょうど良さそうだけど、ちょっと朽ち果てすぎているし……。というか、人間を閉じ込めておくだけの場所にしては、妙な違和感があるよね……?」

「そうだな。拘束具の残骸みたいなものが転がっているし、ここから更にどこかに連れ出していたような感じだが……。さすがに、ここに遺されている程度の情報だけじゃさっぱりわからんな。――とりあえず上に戻るとするか」


 そう言ってふたりが1階へと戻った所で、

「おーい! 回転する壁を見つけたぞ!」

 などという声を投げかけてくるレインズ。

 

 向かってみると、たしかに回転する壁がそこにはあった。

 

「なるほど……たしかに回転する壁だな……」

 ラディウスは、まるで忍者屋敷かなにかだな……などと思いながらそんな風に言う。


「……ここって位置的に建物の隅よね……?」

「うむ、先程2階の窓から建物の大きさを確認しているから間違いないな」

 ルーナの疑問に首を縦に振り、同意の言葉を口にするカルティナ。

 

「でも、外じゃないわね……?」

「おそらく、隣の建物と繋がっているんだろう。外からだと隣の建物との隙間は、塀のせいで良く見えなかった――巧妙に隠されていたしな」

「なるほどねぇ……。でも、どうしてこんな仕掛けを?」

「大っぴらにここへやって来られないような人物が、隣の店に入るフリをして、こっちへ来るため……とかだろうな。まあ、その逆――秘密裏にどこかへ移送するために使われた可能性もあるが」

「なんとも手の込んだ事をしているわねぇ……」


 などという会話をしつつ、ルーナとラディウスは回転する壁をぬけてその先――隣の建物へと移動する。

 

「こっちは、食事処……あるいは酒場だったみたいね」

「まあ、カムフラージュにはぴったりだな」

 ルーナとラディウスが回転する壁のある廊下から広間へ出た所でそんな風に言う。

 たしかにそこはテーブルや椅子、食器が散乱しており、食事処か酒場だったのであろう雰囲気があった。


「ん? この下から水の流れる音が聞こえてくるぞ……?」

 カルティナが床に耳を付けながら皆に告げる。

 

「あー、もしかしたら例の地下水路がこの下を通っているのかも?」

 そんなセシリアの推測の言葉に続く形で、

「下に降りる階段なら、こっちにあるぜ。ただ、扉が鍵がかかっているわけでもねぇのにビクともしねぇが……」

 と言ってくるレインズ。


「これは……魔法で施錠されているわね。それも、古い物じゃないわ」

「つまり、あの仮面の連中が付与した可能性が高いって事だな」

 ルーナの言葉にそう返しつつ、術式を解析するラディウス。

 

 そして、一通り確認し終えた所で、

「大した術式じゃないな。これなら簡単に破れる」

 と、皆に告げた。

そんなわけで、次回は地下に降ります。施錠魔法はあってないようなものですし(何)


さて、その次回の更新ですが……明後日、火曜日の予定です!

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