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第9話 あの時の親子を探して。偽装を見破る聖女。

「神剣の聖女というのは、スカウト能力に長けた冒険者以上に、スカウト能力があるのか……?」

 なんて事を言うレインズ。無論、普通はない。

 

「まあ、聖女だからね!」

 セシリアは、まったくもって答えになっていない返事を胸を張って言うと、そこで一度言葉を切り、首を傾げつつ問いの言葉を投げかける。

「……ところで、どちら様? あ、いや、伯爵に遺跡調査を依頼された時に見かけたかも?」


「ああその通りだ。あの時、セシリアの護衛役だった冒険者のひとりだ。そして、仮面の連中を実際に見た人物でもある」

 と、ラディウスが説明すると、セシリアは、

「あ、やっぱりそうだったんだ。……忘れていてごめん」

 そう言って頭を下げた。

 

「いやいや、あの時は名乗るタイミングがないままだったし、後方の警戒にあたっていたからな。忘れていても仕方がないさ。聖女様が謝る程の事じゃない」

 レインズはセシリアに対してそんな風に言うと、一度言葉を切り、改めてラディウスたち全員を見回した後、

「――つーわけで、折角だからこの場で正式に名乗らせてもらうぜ。俺はレインズ・ウィンジェス。短い間だがよろしくな」

 と、自己紹介をした。

 

 それに対してラディウスたちも軽く自己紹介をする。

 そして、全員の自己紹介が終わった所で、セシリアが口を開く。

「さて、それじゃあ改めて仮面の連中の後を追いかけようか!」

 

「ここで足取りがわからなくなっているんだよな?」

「そうだね。でも、ここで痕跡を消したのはフェイクだね。痕跡自体が偽りであると思わせるのと、実は地下水路に入ったと思わせるのの、2つの効果を狙った、ね」

 ラディウスの問いかけに対し、セシリアは地面と地下水路の入口を順に指差しながら、そう答える。

 

「なるほど……たしかに良い偽装方法だな。それで、連中はここからどこに移動したんだ?」

 というラディウスの再びの問いかけにセシリアは、

「ここから……そっちの建物だね。あそこの窓から建物内に入った感じだね」

 と、答えながら痕跡が消えた場所のすぐ脇の、2階部分に窓のある建物を指し示す。


 だが、その建物の窓には鉄の格子があり普通には入れない。

 しかも、1階部分は窓ひとつなく、壁しかない。

 

 それを見てカルティナが首を傾げる。

「わざわざ2階の窓から入ったというのか……? しかも鉄の格子があるが……?」


「そう。まさかあんな所から入るとは思わないよね。でも、それが狙いなわけ! あれ、良く見ると分かるけど、格子が外せるようになっているし」

 そんな事を言ってくるセシリアに驚くレインズ。

「マジか!? 全然気づかなかったぜ……っ」


「まあ……それを見破るのは、よほど慣れていないと難しいと思うわよ? 私も遠見の魔法で見てようやく分かったくらいだし。ちなみに、格子の枠部分に細工らしきものがあって、スライドさせる事で外せるようになっていたわ。それと……解析魔法を使ったら、誰かが魔法を使った痕跡があったわよ」

「ふーむ……。神剣の聖女――セシリアの洞察力には驚かされるな」

 ルーナの補足を聞き、セシリアに関心を抱くカルティナ。

 

「俺としては、そっちのルーナの魔導技術にも驚きだがな……」

 と、カルティナに続くように言うレインズ。

 

 ラディウスはそれを聞きながら、遠見の魔法が組み込まれたメガネ型のガジェットを取り出し、格子を見る。

 

 ――なるほど……。言われてみるとあの枠、妙な金具で留められているだけな気がするな……たしかにスライドさせると外せそうだ。

 

 それを認識したラディウスは、皆へと顔を向け、

「よし、あそこから中に入ってみよう」

 と、告げた。

セシリアは聖女とは一体……みたいな所が結構ありますが、そもそも神剣と云われているガジェットのセキュリティ認証を偶然通過する事が出来た為に、そう呼ばれるようになっているだけですからね……


といった所でまた次回! 更新は……明後日、水曜日を予定しています!

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